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[勝ちたかった試合]第6節 ガンバ大阪 vs 京都サンガ

試合情報


マッチサマリ

▼前半

入り

前節CB不在の中で宮本が急造で入って良いプレーを見せましたが、今節は出場停止から戻ってきたアピアタウィア久と麻田のCBコンビでスタート。前線は怪我も心配された豊川が元気にスタメンに名を連ねており、安齋がプロ初スタメン。3連戦の2戦目という事もあり、ベンチ含めて少しメンバー変更していました。ベンチは、CB松田が移籍後初ベンチ入りしており、アピに何かあっても代役を努められる頼もしい存在が登場しました。
中盤は、怪我の金子に代わり前節は川崎がDMFを努めていましたが、今節は武田が入り川崎が1列前のCMFで松田とコンビを組んでいました。

スタートからいつものハイプレスを展開し、ガンバのCBとMFを完全に制圧していました。
サンガの狙いとしては前節同様に、相手をインテンシティと運動量で上回り主導権を握れる前半に先制点を奪い、その後は守備中心のカウンター戦術で逃げ切りたい。その為に、前半はとにかくボールへのプレッシャーを強めていた様に見えます。(個人的には、前半に飛ばしすぎて、エネルギー切れになって、軽いプレーで失点しない様に祈ってみていました。)

一方、ガンバも宇佐美が試合前インタービューで話していた通り、ハイプレスを1枚剥がし、数的優位を作ってから前線にパスを供給する意図が明確で、お互い狙いがある程度はっきりした前半の入りになりました。

18分 (ガンバ大阪)宇佐美のピンポイントクロスから決定機! 

前半唯一のガンバの決定機だった?
佐藤(響)の中途半端なクリアを半田がカットし、サイドでフリーだった宇佐美にパスを出し、ゴール前に距離があったが、中に入っていた山田(康)にピタっと合うクロスで決定機を演出。

1番手前にいるのが宇佐美。
ゴールからの距離はかなり離れており、ここからクロスを入れるだけで一苦労だろう。

今年のガンバは省エネサッカーを展開しており、「ここ!」というタイミングで一気にチーム全体が出力を上げて、ゴール前に飛び込んでいくスタイルをまさに象徴したシーンであった。
特に今年のガンバを牽引しているのが宇佐美であり、このシーンも普通であればチャンスにすらならない大外から彼にしか出せないクロスの精度でチャンスを演出しており、状態の良さを伺わせた。
その後のファン・アラーノのヘディングも僅かに枠を逸れて、先制点とはならなかった。

19分 (京都サンガ)松田(天)の高い位置で宇佐美からボールカットしチャンスを演出!

宇佐美が献身的に守備をして、ボールを落ち着かせようとしていたのにも関わらず、松田(天)がCMFにいる時に発動される無慈悲なボールカットが今夜も炸裂したシーンでした。

明らかに左サイドでフリーになれていたので、原の後ろでフリーだった豊川に合わせる事が出来ていたら先制点でしたね。
今日は松田(天)が左寄りのCMFだった事もあり、佐藤(響)、安齋の3人で守備と攻撃時の切り替えが上手く機能していた。
普段のサンガはセットプレー時以外に、過度に人数をかけた攻撃をする訳では無いので、問題にはならないんですが、関係性が悪い時は、セットプレーのこぼれ球を相手に取られてから一気にサイドがガラ空きで、カウンターを喰らい失点に繋がるケースが多いので、映ってはいませんが安齋と松田が良いカバーを出来ていた様に見えます。
このシーンも彼らがカバーしていたからこそ、松田がハイプレスをかける事が出来ました。

前半総括 

その他のチャンスシーンもありましたが、目立ったシーンにはならなかったので割愛しています。
前半はお互い見どころ満載で、まさに京阪ダービーの熱い展開になりました。各チーム目立ったプレイヤーは、サンガの武田(将)、原、佐藤、ガンバの宇佐美、半田、一森でした。
その中でも特に武田(将)は、川崎、金子では見た事が無い「意図的にボールを落ち着ける」シーンが何度も見られ、ひと時の休息をサンガの選手たちに与えていました。ヴェルディ戦でも書きましたが、「90分間を通して人間は、全速力で走り続けられない」ので、意図的にボールを落ち着ける時間は、今のサンガのサッカーにおいて必要不可欠ですし、キープ力と状況判断力に長けた武田(将)の強みが活かされる良い采配だったと思います。

チームの成熟度としては、サンガの方が徹底して同じサッカーを展開しているので、チームとしての意識統一(剥がされても良いからファーストディフェンダーは前から当たる)されており、残体力が多い前半は少しサンガペースで試合が進んでいきました。

後半の展開としては、ガンバはベンチメンバーを使い出力を上げてくると予想される中で、サンガの体力がどこまで持つかが見ものではありました。
さすがに、前節の反省を活かしてベンチワークなのか、選手同士のコミュニケーションなのかで出力を落とさない様にしてくれる事を期待して後半に望みます。

▼後半

60分 (ガンバ大阪)鈴木(徳)のクロスから宇佐美に決定機! 

少しずつサンガの守備が緩んできた時間帯での決定機。
サンガと対戦する相手チーム目線で考えると、最初に強度の高いプレスを体験すると時間経過していくと「目が慣れてくる」のだと思う。実際にパスを出すタイミングや球離れなど、後半になるに連れて変化が生まれてきていた。

宇佐美のシュートは惜しくも川崎(颯)が神クリアで入らなかったが、点が入らなかった以外は完璧なシュートであり、さすが宇佐美というスキルの高さを見せつけたシーンであった。

77分 (京都サンガ)コーナーキックのこぼれ球から福田(慎)に決定機! 

後半で1番得点の匂いがしたシーンでは無かっただろうか。(個人的にはマルコトゥーリオの1対1よりも得点の香りがした)
よく見ると、GK以外にガンバのDF3人がゴール前でカバーに入っていたので、シュート成功確率はかなり低かったかもしれないが、サンガの得意なコーナーキックのこぼれ球からのチャンスだったので、「お!」となったシーンだった。

今年のガンバは守備が硬いと言われているが、このシーンはまさにその象徴だろう。
やはり中谷の加入は大きそうだ。

本来サイドバックの福田(慎)がゴール前で決定機を生み出している時点で、カバーエリア広すぎると思う所だが、今日はガンバのウェルトンを抑えるのにエネルギーを注いでいた為、攻撃でフラストレーション解消したかったのでは無いだろうか。
良いシーンだったが、得点には結びつかなかった。

90+3分 (京都サンガ)麻田からのスルーパスに反応したマルコトゥーリオの決定機!

惜しくも一森に防がれ得点ならず。
ここのポイントは「決めろよ!マルコ・・」「ヨミの鋭さが桁違いの一森」だろう。
ほとんど時間が残っていない極限のシーンで、一森は冷静にマルコの顔とシュートコースをギリギリまで見極めており、もしキャッチできなかったら、平賀がフリーでシュートを放てる位置にあった為、かなり緊迫したシーンとなった。

打つギリギリまで目を切らずコースを消し続けていた。
三浦のカバーも素晴らしいが、一森のポジショニングとセービングが完璧だった。

去年までは東口と谷(晃)の後の第3キーパーだった一森が、横浜Fマリノスでのレンタルを通じて覚醒の時を迎えているだろう。ガンバのキーパーは後方支援の文脈で足元とパス技術を求められているが、一森は去年のプレーを通じた自信を武器に、ガンバには無くてはならないキーマンになっている。あっぱれ一森。

試合終了 ガンバ大阪 0-0 京都サンガ

後半総括

さすがに前半と同様の出力でのプレーでは無かったものの、守備と攻撃時に取捨選択が出来ていたバランスの取れたチームに変貌していたように見える。実際後半にガンバに何度か決定機を作られてはいたものの、サンガも同様の決定機を作り出せており、一方的に攻められる試合展開にはなからなかった。

前節の反省なのかは分からないが、意識と行動が変わっているのは、DAZNで見ていても選手同士の声掛けを見て理解出来たと思う。短い準備期間の中でチームとしてPDCAを回している姿勢は、とても良かったのではないか。
正直見どころとしては、後半の雨でピッチコンディションが悪くなり、雑なプレーが互いに増えた事でそこまで多くはなかったが、ガンバの調子の良さとサンガの執念を感じられた京阪ダービーらしい良い試合であった。

Point

①チームとしての連動性が見れた

今日の試合は、守備と攻撃時の切り替えが90分通して安定していた。
前節との比較ばかりですが、2-0の時のチームとして振る舞う行動と0-0の時の行動では緊張感が異なります。
今日の試合は、前半後半共に互いの強みを消し合う緊迫感のある試合でしたし、切り替えの時に1人でもサボったら一気にピンチになるシーンが多々ありました。
連動性(特に武田が意識的に安齋や川崎に指示を与えているシーン)が見られましたし、誰かに任せるのではなく主体性を持って行動出来た結果なのではないでしょうか。

勝ち負けは結果論です。
結果に縛られるのではなく、地道に積み重ねてきたプロセスが大事であり、今日の様な試合が継続して出来るのであれば、見応えのあるチームになると思います。

②得点力不足は今年も課題になりそう。(パトリックをなぜ放出したのか…)

こちらは少し深刻な問題になりそうです。
今年は、原と豊川頼みなチームではあるものの、彼ら2人には相手チームから既にかなり厳しいマークが付けられており、原は後半に身動きが取れなくなって中盤に下りてきてビルドアップの組み立てに参加する様になっています。個人能力は疑う余地は無いですが、チームスポーツである以上、彼に得点を取らせるのであれば、彼ら2人から、マークを分散出来る選手が出てこないと厳しいです。
昨年だとベンチに秘密兵器パトリックがいたので、最終何とかしてくれるか・・!という期待が持てましたが、今のベンチは物足りないのが現状です…

昨オフの補強がDF中心だった事もあり、FWは人員整理程度で顔ぶれもマルコ以外変化が無い状態です。
補強なのか、現有戦力の底上げなのかは分かりませんが、得点パターンを増やしていかないと、セットプレー以外から得点の取れないチームになってしまうので早めの対策を講じたい所です。

Pickup Player

MF 武田翔平

今節アンカーでの出場でほぼ完璧なパフォーマンスだったのではないでしょうか。前節のPickup Playerにも選出させていただきましたが、武田が出るか出ないかでチームの雰囲気も全然違いますし、中盤の安定感(特に守備とボール保持の時)が格段に上がります。
恐らく、チョウさんのサッカーにおいて、本来だと武田の様な選手はフィジカル的に試合に出れないのが今までだったと思いますが、運動量と怪我を恐れない姿勢でチョウさんの信頼を勝ち取っているんだろうと思います。
守備に比重を置くと、一気に得点力不足が顕在化したサンガにとって、攻守のバランスを司ってくれる武田の存在は必要不可欠でしょう。
とりあえず金子が帰ってくるまではアンカーでフル出場をよろしくお願いします!

DF 佐藤響

大卒3年目の今年いよいよ覚醒の時を迎えていらっしゃる選手です。
監督からは「あまり上手い選手では無い」と言われていますが、今日の試合でも随所に「上手・・」と思わされるシーンがありましたよね。
最近は基本的に、どんなサイドアタッカーでも1対1の局面ではフィジカル負けせずに対峙出来る様になりましたし、彼の1番の強みは攻守の切り替えの早さとスタミナです。
今年このまま活躍を続けて、仮にサンガも上位進出などすれば海外移籍の話やステップアップ移籍の話が来てもおかしくないレベルです。以前の記事にも出しましたが、京都サンガFCというチームはステップアップ移籍とかなり相性が悪いのでお気を付け下さい。(絶対移籍しないでね。)

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