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宣材というもの

今回は「宣材」について。宣材とは字のまんま「宣伝材料」の略です。芸能業界以外ではあまり聞かないですね。だから宣材といえば「タレントの紹介資料」と理解して良いのではないかと思います。モデル事務所では「コンポジット」なんていいます。略称「コンポジ」です。

たいていはA4サイズで、タレントの写真がアップと全身の2枚程度付いており、記載されているのは生年月日、出身地、体のサイズ、趣味、特技といった基本情報、それと過去の芸歴等々。モデル事務所の場合は髪の色、目の色などといった情報もあって、最初のころは「おおっ」と思ったものです。キャストするタレントを書類選考する際は、何人分もの宣材を机いっぱいに並べて比較検討することになります。

これまでに何百人ものタレントの宣材を見てきましたが、見るたびにいつも思うことがあります。「どうしてもっとタレントを売り込もうとしないのだろう?」と。本当に、どの事務所の宣材も素っ気なさ過ぎです。「ぜひこの子を使ってください」みたいな意欲が感じられない。宣材の作り方に規則や作法があるわけでなし、なぜもっと見た人がそのタレントに興味をもつような工夫をしないのかと。

たいていの宣材から得られる情報は、写真と基本情報と芸歴、それだけ。
なぜか「特技:だれとでも仲良くなれること」などとあるのをたまに見かけますが、就活生じゃあるまいし、芸能業界では意味がありません。まだ芸歴が少ない新人タレントの宣材で、シートの半分近くが真っ白ということがあります。もったいなくないですか? だったらそこにできること、やりたいこと、好きなものなど書けばいいと思うんです。 写真にしても、絶対必要な全身とバストアップに加えて、趣味に打ち込んでいる写真、アルバイト中の写真なんかがあってもいい。「この人、コンビニのレジが似合うなあ」みたいな印象を残せるかもしれない。
あと、「事務所から一言」みたいなのはどうでしょう。「頭の回転が速くてトークが面白い!バラエティでぜひお願いします!」とか。まあ、あまり「色」を付けたくないという事情はあるかもしれませんが。

もしかしたら、宣材にたった一行書いた何かがきっかけで、仕事をもらえるかも知れません。実際、どの事務所の宣材もみんな似たり寄ったりなので、ちょっとユニークなことを書けば間違いなく目立ちます。タレントはルックス以外にも取り得があるはず。ほんと、「選ばれる宣材」を作るコンサルタントにでもなろうかな(半分本気)。このあたりは、芸能事務所が一般企業に学ぶべきポイントですね。

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