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タレントおいくらですか?

著名人を広告に使ったらいくらかかるのかと、真剣に仕事を依頼するつもりでタレント事務所に電話をしたら邪険な扱いをされた。という経験がある方はいないでしょうか。もちろんお客様に対して失礼な態度を取って良いはずはないのですが、タレント事務所の立場を考えれば多少は無理からぬところもあります。その点を説明させてください。

弊社はタレントのキャスティングをメインに広告なども扱う会社なので、さまざまな依頼や問合せを日々いただいています。たとえばこんな感じです。「来年の新商品のイメージキャラクターとして俳優のAさんを手配したらいくらかかるでしょうか?」
詳細をうかがってちゃんとした企画を持っているようなら、Aさんの所属事務所に問い合わせます。出演可否を確認し、OKが出たなら「Aさんの件、○○万円で出演OKです」と回答します。
しかし、何日たっても返事がない。痺れをきらしてこちらから電話すると、「ああ、あの件は社内で検討したんですが、コストが高かったので見送ります」みたいなことはしばしば。

「そのくらい普通の会社ではよくあることでしょう」と、あなたは思ったかもしれません。たしかに、見積りを出した案件が立ち消えになることなど普通ですし、むしろ成約する見積りのほうが少ないと思います。そんなことで腹を立てていては仕事になりません。

しかし芸能業界は少々事情が異なります。まず、タレントには料金表がありません。出演の問い合わせがあれば、スケジュールはもちろん出演の条件、競合の事情、広告の露出範囲など、さまざまな要件を総合して事務所が見積り料金を出します。そして、クライアントから回答を得るまでそのタレントのスケジュールを空けておき、発注に備えます。その間、もし他の企業からそのタレントに仕事のオファーがあったとしても断らねばなりません。当然ですよね? 問い合わせをいただいた企業からOKの回答があったときに、「他社で決まりました」とは言えないからです。だから、見送りなら見送りと早く言ってもらわないと困るというわけです。

※「決定優先」と言って、同じタレントに複数のオファーがあった場合、先に決定を出してくれた方を優先するという見積りの出し方もあります。

そんなこともあって、「普通の会社」から直接キャスティングの問い合わせがあっても、タレント事務所の人はあまりうれしそうな声を出しません。
というよりまず疑ってかかります(笑)。本当にその企画は実施されるのか、タレントを使う予算があるのかと、電話の主にしつこく突っ込むでしょう。広告代理店を経由するように薦められるかもしれません。タレントの料金をそう簡単に言いたくない事情はご理解いただけると思います。
そういった対応を受けた方は「感じ悪い」「エラソーだ」と感じるかも知れませんが、その対応の裏には前述のような事情があるのです。 

とはいえ、たとえば勤務先の社長から「女優のBを使ってCMを作れんかね」などと言われ、あわててネットで検索して所属事務所やキャスティング会社を探し、「どのくらい費用がかかるんですか?」と切実な思いで質問する哀しきビジネスマンはいるかもしれません。 

残念ながら、本来その程度の情報で料金をお答えすることはできません。が、私とて「普通の会社」にいたこともある人間です。「普通の会社」の事情(無茶ぶり)も感覚(上に逆らえない)も十分理解できます。なので、最初から情報収集レベルと言ってくれれば、経験上の知識で「ざっと」お答えできることもあります。それでよろしければ、DMからでもお問合せください。とりあえず私は、芸能業界に通じていない多くの「普通の会社」の味方のつもりです。お問い合わせいただいた方に不愉快な思いはさせまいと心掛けていますので、ぜひ。

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