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ニート校長、トラックメーカーになる。Episode7:DTMの基礎〜サンプリング編〜

前回のあらすじ・・・

MIDI打ち込みによるトラックコピーの課題を終えた校長。
次に待ち受けるのはトラックメーカーとして避けては通れない技法、「サンプリング」であった!

これはKYOTO NEST学校長hatch=ドラム以外なにもわからないアラサーが、KYOTO NESTのDTM科AGURA先生に教えを乞いながらDTMerを目指す物語…!

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サンプリング!!!!


でた!!
サンプリング!!

バンド音楽出身の校長でも知っているHIPHOP用語、サンプリング。

非常に奥が深い。奥が深いということだけはわかる。浅い、自分。


リリックのサンプリングもあるし、トラックのサンプリングもある。

今回はDTMの話だから、トラックのサンプリングについて触れることになる。



さて、知っておくとドヤれるHIPHOPの基礎知識について書いておこうと思う。


サンプリングという手法を確立した・世に広めた人物として挙げられるのはDJ Kool Herc。小さなホームパーティーで、ターンテーブル2台とミキサーを用いて「曲の間奏部分を永遠にループさせる」というテクニックを披露する。異なる2曲の間奏がシームレスに流れ、それはれっきとしたひとつの音楽になった。

そしてやがて、そこにパーカッション・ベースが重なると、まったく別の曲へと変貌を遂げるのだ。
これがサンプリングの元祖とされている。


「模倣」の分類

サンプリングと聞くとみなさまの頭の中には「パクり」という言葉が浮かぶのではないだろうか。無理もない。
物事の本質と乖離したところでパブリックイメージが一人歩きするというのはよくあることだからその是非は語らないとして、自分にとってのサンプリングの、「模倣」についての考え方などを簡単に書いておきたい。


サンプリングは一旦抜きにして、「模倣」には三つ分類があると思われる。

①パクり:バレたら困る
②オマージュ:バレてもバレなくてもどっちでもいい
③パロディ:バレないと困る

この三つである。これは僕が言い出したわけではなく、Twitterか何かで見た記憶があるもので一番しっくりきた。
つまり自分はこの分類をTwitterからサンプリングしたわけである。


これは言いたかっただけである。



さて、サンプリングはこのうちどこに当てはまるだろうか?

個人的な感覚だが、②と③の間だと思う。

そしてそれはサンプリングという「表現」に至る背景にも関わることだと思っている。


つまり、


なぜサンプリングするのか?

の方が、「何をサンプリングするのか」より重要だと思っている、ということだ。
これは自分がDTMを始めるよりもずっと前、その文化について知った時から考えていたことの一つである。


自分がこの先トラックメイクにおいてサンプリングを取り入れる際、「世間的に良いと評価されているメロディー」は採択したくない。これはひとつの戒律であり、美学である。


それよりは、自分(やその周りの仲間)しか知らなくても、心の奥深くまで感銘を受けたメロディーを使いたい。


既製品を"流用"するわけだから、ゼロから頭をこねくり回してメロディーを生み出すといった苦労から解き放たれるのがサンプリングである。

しかし、「何をサンプリングするのか?」というところについては、その分思考を張り巡らせる必要があると思っている。
もちろん「街で聴いて琴線に触れた初見の音楽」を使うこともあるのかもしれないが、いずれにせよ自分の感性と「サンプリングに至る経緯や背景」といったものは、蔑ろにしたくない。

「売れてる曲だから」という理由だけで、そのフレーズを持ってくるようなことはしたくない。

きっとそれが、自分の音楽のカラーやアイデンティティを形成する重要な要素になってくると確信している。


で、どうやるのよ


散々能書きを垂れてしまったので、ここからは実際の操作などについて触れる。

ここで思う。

「科学のちからってすげー!」

Logicには様々なプラグインがあり、その中にはなんと音源のBPMを測定してくれるものがある。


まずサンプリング元の音源をLogicに読み込ませ、プラグインから「BPM Counter」を起動する。

そして音源を再生する。プラグインが一生懸命その曲を聴きながら、しばらくすると「うん、多分このあたりちゃうかな」という感じで、バンっと数値を出してくれる。


h「これ、それでも微妙な誤差が出てる場合もあると思うんですけど、どうやって判断したらいいですか?」

A「プロジェクトのテンポをその数字に揃えて、音源トラック置いて流して、曲の最初と最後でクリックと合ってるかどうか。


なるほど。

最初から最後までぶっ通しで聞いてチェックをしなくても、確かに頭とケツがあっていればそれで大丈夫と言える。

それに、
「頭とケツのクリックが重なっていても、どこかで1拍分まるまる遅れ/早まってしまっただけなのでは?」というようなことは起こらないと思っていい。

それくらいには、このBPM Counterの精度は高い。

※曲のジャンルや音像によっては正常に作動しない場合あり



上記までは、原曲からテンポ・音程をそのまま持ってくる所謂「まるごとサンプリング」の場合の処理方法。


サンプリングにもいろんな加工の手法があり、

・全部ごっそりそのまんま

・テンポのみ加工してあとはそのまんま

・音程のみ変えてあとはそのまんま

・テンポも音程も加工して使う

などなど様々。どう使うのかによって、処理方法が異なる。


まず最初の課題曲!(曲名などは伏せます)

構成要素としては、

①サンプリング元データ×1曲分

②Drum打ち込み

この2つ。非常にシンプル。


今回はサンプリング元の曲を割とがっつりそのまま使うパターン。


もしテンポを変えて使いたい場合、リージョンの端をoptionキーを押しながらドラッグすることでテンポの調整ができる。これはほんとにかがくのちからってすげー案件である。音自体を引き延ばしたり圧縮してしまうため、音質はどうしても劣化してしまうが、自由度は限りなく高まる。バラードをロックへとスピードアップさせることもできるし、ヒップホップをバラードにすることもできる。

それに加えて、トランスポーズという項目で曲全体の音程を変えることができる。カラオケでいうキー変更のようなものだ。例えばこの曲のこのリフレインが本当に好きで曲に使いたい、でも高さが合わない・・・といった場合は、キー自体を変えてしまえばいい。


すげえ、なんでもできる。


次回予告

まずは課題曲第一曲目が完成。

ここまでは、まあ、なんてことはない。


次は課題曲二曲目に突入する。

フリースタイルダンジョンからHIPHOPに興味を持ち始めた自分でさえ知っている、あの偉大なCLASSIC。(曲名は伏せます)


それを完璧に再現せよ!!

これが次の課題だ。


さあ、今度はまるまるそのままとはいかないぞ。


次回へ続く。

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KYOTO NEST
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