ニート校長、トラックメーカーになる。Episode9:DTMの基礎〜サンプリング編③〜
前回のあらすじ・・・
サンプリング・MIDI打ち込みの合わせ技を習得。
打ち込みはドラムだけだという、冷静に考えたらそんなわけないのに知らぬ間にこびりついていた先入観を取り払うことにも成功(前回をご覧ください)。
さて、次は・・・!?
これはKYOTO NEST学校長hatch=ドラム以外なにもわからないアラサーが、KYOTO NESTのDTM科AGURA先生に教えを乞いながらDTMerを目指す物語…!
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基礎と応用
これまでで課題曲を3曲クリアしたことになる。これでMIDI打ち込み・サンプリングそれぞれの手法を用いたトラックメイクは慣れてきたと言って良い。
え、言っていいのか??
大丈夫かこれ?
おそらくこれ、ドラムで言うところの、8ビートと16ビートの基礎がとりあえず叩けるようになりましたぐらいのところじゃではないのか。
つまり基礎中の基礎。応用がまだできていない。
いつになったら曲を作れるようになるんだ・・・と焦る自分と、それをたしなめる自分がいる。
いや、そんな簡単にできるようになったらつまらんやろ。と。
だいたいが、自分のドラムレッスンのやり方がそうだ。
イヤというほど基礎を教える。はやくかっこいいフィルを叩きたい、流行りのあの曲を叩けるようになりたい、顔にそう書いてある生徒の意向をにこやかにガン無視しながら(もちろん無碍にはしない)スネア一発の叩き方、ハイハットの鳴らし方を教える。フォームを、握り方を、振り方を教える。
なぜかって、基礎は応用ができるからだ。算数において、四則計算の基礎を理解すればあらゆる数字の計算が可能であるように、まず基礎を正確に抑えればこれほど武器になるものはない。逆にそこができていないと困る。極端な話、2×2はできるのに6×7ができないのでは困る。しっかりと本質を理解できていないと小数同士の掛け算や割り算ができない。
音楽にも、いや全ての物事には同じことが言えるのではないだろうか。
基礎がつまらないと言う人は、基礎の応用のさせ方を、応用させることの面白さを知らないと言っているのと同義なのである。
もう一つのサンプリング
AGURA「次はこの曲をやってもらいまーす」
AGURAが再生ボタンを押す。音楽を言葉で簡潔に表現することが難しいが、敢えて言うなら、
聴いたことないけど、なんかめっちゃかっこいい曲が流れている。
迫力がある。美しいメロディ。MCバトルで使われたら観客が沸きそう。エモい。この言葉使いたくないけど。。エモい。
A「はい、今聞いてもらったのが、えーこれが俺の作ったビートやねんけど、今度は、えーこの曲の完コピをしてもらいます。」
はい??
びっくりワードがふたつぐらい聞こえました。
あ、えーと、これはこの人が作った曲なんですか?
はえぇーー。
で、あの、これを完コピしないといけないんですか?
まじで??
A「サンプリング元の曲は教える。あとなんのMIDI音源使ってるかと、ループパックどれ使ってるかも教える。今回身につけて欲しいのは、サンプリングはサンプリングやねんけど、今までのとはちょっと違うやり方。」
ちょっと違うサンプリング??
A「これ見てみて。」
!?!?
なんやこれ。
リージョンが細かく分割されている。
今までは1つのリージョンで2小節ほどを占めていたものが、これは1小節の中に8個に分割されたリージョンがひしめいている。
ど、どんな音が流れるんだ。
再生。
!?!?!?!?
めっちゃ滑らか・・・。。
なぜ??
A「デジタル処理で曲のスピードを速める(調整する)のではなくて、原曲のビートの地点でチョップして、それを作る曲のテンポに合わせて詰めて配置していく。」
つまりYouTuberの編集によくあるような「間」のカットだ。
これは多分文章だけでは伝わりにくいので、おいおい画像で補足の説明ができればと思う。思っている。
しかし、ひとつの疑問が浮かぶ。
そこまでする意味とはなんだ?
破壊、非破壊
サンプリングは、元曲の断片を差し込んで終わりではない。
そこからピッチを変え、速度を変え、はたまたサンプリングであろうとなかろうと様々なエフェクトをかけ、コンプをかけ、マスタリングを行う。
それらは破壊と言える。音を圧縮し、削ぎ落としていくのだ。
なるべく高品質の楽曲を作り上げるためには、破壊という行程は少なければ少ないほどよい。
そこで、曲のテンポをトリミングという手法を用いて調整するのが非破壊編集のうちの一つなのだ。
非常に奥が深い。
全てのサンプリングを非破壊で行うべきかどうかというのはさておき、例えばのびやかな楽器や歌声を特徴として活かすサンプリングをしたいのなら、非破壊サンプリングは非常に適した方法と言えるのではないだろうか。
デジタル処理特有の、あのシャリシャリとした音質。
あれは破壊されていたのだ。
既存のものを破壊して、新たなものを創造する。
破壊と創造、破壊と再生。
スケールの大きなこのワードを、まさかDTMの話で使うことになるとは思ってもいなかった。
そしてこの日、いっそうDTMという文化が好きになった。
次回へ続く。
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KYOTO NEST
京都今出川の音楽スクール。
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