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京都便利堂「便利堂のものづくりインタビュー」第1回

第1回 商品企画担当:水谷(写真左) 聞き手:社長室 前田(写真右)

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―――商品を企画するとき、水谷さんが大切にしていることをおしえてください。
見た目も使い心地も気になりますが、それを手にするお客さまのことは忘れてはいけないと思っています。どんな人がいつ、どんな風に使うか、それこそいろんなシチュエーションを考えます。

―――シチュエーションというと?
たとえば便利堂では扇子を扱っています。でも扇子って次々に買うものかというとそうではないですよね。きっと迷って吟味して購入していただくと思うんです。それがすぐにくたびれるとがっかりしますよね。だからバッグの中に入れたときにどうなるか、持ったときの感触はどうか、手に触れる部分は使ううちに色が変わった方が素敵かな?など、観察もしますし想像力も働かせるようにしています。

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―――たしかに、見た目も使い心地もどちらも大切です。
そうですよね。この「SHIHO」シリーズの扇子は古くからある七寸一八間という形にこだわりました。外側の竹を親骨というのですが、そこにたっぷりと幅をもたせてあります。そうすると開いたときはもちろん、閉じても着物にはさんだときも美しいんです。扇面もしっかり守られるうえ、竹の丸みが手になじんで、それもまた使い心地のよさにつながります。使うひとのことが考えられた商品は、きっと長くそばに置いていただけるのではないかと思って作りました。

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―――よくわかります。デザインについてはどうですか?
便利堂の商品には美術作品が用いられています。作品を使うときに気をつけているのは、そこにさらにデザインを加えないこと。作品に敬意を表して、手を加えることはしません。

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―――それは商品を手元に置くうれしさにつながりますね。
美術作品は、本来であれば美術館や図録でしか見られないものばかりです。若冲も鳥獣戯画もそうですが、日本の文化財が日常使う道具で楽しめるって、非日常と日常がミックスされているようでおもしろいですよね。

―――この「SHIHO」シリーズは若冲の作品をモチーフにしていますが、ちょっと今までの便利堂の商品とデザインが違いますよね?
そうなんです。文房具ってかわいすぎたり、反対にそっけないほどシンプルなものが多いですよね。「SHIHO」のコンセプトは「現代に即した和文具」です。働く大人の女性が自分のために用意したくなる文房具をとりそろえました。四つの色は四季をイメージしていて、どれも使う人をきれいに見せてくれるんですよ。色もデザインも、人と同じものを持ちたくない方にこそお使いいただきたいですね。

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―――最後に、水谷さんがこれからつくっていきたい商品について聞かせてください。
持っているだけでうれしいものってあると思うんです。ふと見るとテンションが上がるもの。そばに置いておくと一日いい気分でいられるものってありますよね。それで使い心地もよければ、今度はそれを大切なひとに差し上げたくなりませんか?そんな商品を作っていきたいです。

(聞き手:社長室 前田)(写真右)

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◆SHIHO便利堂 玄圃瑤華扇子◆
伊藤若冲筆 江戸時代 東京国立博物館蔵

伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)
享保元~寛政12年(1716~1800)、京都生まれ。家業の青物問屋のかたわら狩野派を学ぶが、39歳で家督を弟へ譲り、絵に専念する生活に入る。元・明の古画と光琳派という和漢の装飾画を研究するかたわら、動植物の写生に勤め、特に鶏の絵を得意とした。独特の画風から「奇想の画家」と呼ばれた。代表作は『動植彩絵』。

SHIHO便利堂とは?
明治より絵葉書を扱う便利堂が、文房四宝の「四宝」より命名した、現代に即した和文具を提案するブランドです。あなたの大事な一筆を応援します。※文房四宝…文人にとって特に大切な筆、硯、紙、墨のこと。中国宋代よりこの呼称があり、賞玩の対象であった。

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