マガジンのカバー画像

折々の絵はがき

57
好きな作品を手のひらの上で気軽に鑑賞できる「絵はがき」。 ゆっくり眺めていると、いままで気が付かなかったあらたな作品の魅力に出会えるかもしれません。1枚の絵はがきを取り上げ、みな… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

折々の絵はがき(58)

◆絵はがき〈散策〉 菊池契月◆ 昭和9年 京都市美術館蔵    女性の美しい佇まいに、どこか…

京都便利堂
2週間前
2

折々の絵はがき(57)

◆〈竹〉福田平八郎◆ 昭和16年頃 京都国立近代美術館蔵  どこかの竹林でしょうか。竹は競い…

京都便利堂
1か月前
3

折々の絵はがき(56)

◆〈花卉図画帖 桃〉中村芳中◆ 細見美術館蔵  一年でもっとも寒い二月。ダウンコートを着こ…

京都便利堂
2か月前
1

折々の絵はがき(55)

◆〈雪に白鷺〉小原古邨◆ 昭和2年 ボストン美術館蔵  曇り空からこぼれるように降る雪は…

京都便利堂
3か月前
2

折々の絵はがき(54)

◆美術干支年賀 《富士に龍図》◆  波がしぶきを立ててうねり砕ける荒れ狂った海の中から、…

京都便利堂
4か月前
2

折々の絵はがき(53)

◆〈雪に暮るる寺島村〉川瀬巴水◆  雪はまだ日のあるうちに降り出したのか、あたりの景色を…

京都便利堂
4か月前
1

折々の絵はがき(52)

◆絵はがき〈重文砧蒔絵硯箱〉(部分)◆  思わず息を飲む、繊細巧緻な蒔絵の技法。そっと触れてみたいと叶わないことを考えました。これは秋の夜、夫婦が「砧打ち」をしているところです。砧打ちは冬支度のひとつで、反物を「砧」と呼ばれる台に乗せ、槌でたたいて繊維をほぐす行為のこと。この作業は秋の風物詩として能の題材にされたり、和歌に詠まれたりしました。月明りの届く軒先近くに腰を下ろした二人は静かに言葉を交わしているのでしょう。息を合わせて手を動かす様子は仲睦まじそうで、こんな秋の夜の

折々の絵はがき(51)

◆絵はがき〈長旅のはざまで〉上村淳之◆  薄紅色に染まる世界はまるで夢の中のよう。散った…

京都便利堂
6か月前
2

折々の絵はがき(50)

◆絵はがき〈梨木通〉長谷川良雄◆  京都御所の東に位置する梨木神社。その名前は旧町名の梨…

京都便利堂
8か月前
1

折々の絵はがき(49)

◆絵はがき〈新形三十六怪撰 源頼光土蜘蛛ヲ切ル図〉月岡芳年◆  夜中、なにやらいつもと違…

京都便利堂
8か月前
1

折々の絵はがき(48)

◆コロタイプ絵はがき〈季趣五題 なつさかり 旅みやげ第一集 房州岩井の浜〉川瀬巴水◆  海…

京都便利堂
10か月前
4

折々の絵はがき(47)

◆絵はがき〈いでゆ〉小林古径◆  立ち込める湯気、その瑞々しい粒子の一粒ひとつぶが髪や肌…

京都便利堂
11か月前
1

折々の絵はがき(45)

◆絵はがき〈藝術カフェー乃圖〉山口晃◆  カフェで思い思いにお茶と会話を楽しむ人々をそっ…

折々の絵はがき(44)

◆絵はがき〈台所美人〉喜多川歌麿◆  夜明け前、夢見心地の耳へかすかに届くリズミカルな包丁の音。ごはん何かな…と思いつつ布団のなかでぬくぬく過ごすのは至福のひとときです。一方、そのころ台所はすでに嵐のようなせわしなさの真っ最中。釜の前に座る女性は頭に手拭いを巻き、袖をまくり上げた格好で黙々と火熾しに徹しています。立膝をつき、火箸と竹を手慣れた様子で扱う姿に、きっとこれまでたくさんやけどしてきたんだろうなと思いました。隣の女性は勢いよく立ち上る煙に眉をしかめながら、ちょうどお