第4回読書会 津島佑子『ジャッカ・ドフニ』開催報告
2024年6月25日に津島佑子『ジャッカ・ドフニ』の読書会を開催したので報告します。
今回はPeatixでお申し込みの際「zoom」「京都での対面」「どちらでもかまわない」の3つ選べるようにし、zoom参加希望の方が1名以上いらっしゃった場合、zoomで開催する方式で受付を行いました。結果zoom開催になり3名で読書会を開催しました。この方式での受付は今後も継続しようと思っておりますので、ご遠方の方もご遠慮なくお申し込みください。
参加者からは以下のような感想が出ました。
・副題通り、海を移動する「海の記憶の物語」であるとともに、アイヌの歌の記憶が物語を導き、世界中に拡散していく「歌の記憶の物語」であると感じた。
・ジュリアンがパードレになる研鑽を積むにつれ、兄妹同然で育ったチカップとの間に距離が出てくるのが切なかった。
・作者自身と思われる「私」の物語とチカップの物語は、思っていたほど有機的に絡まなかった。
・バタヴィアに渡ったチカップから、離れ離れになったジュリアンに送る三通の手紙が物語のクライマックス。かなの多い会津弁の文体がイノセントで、ジュリアンを遠くから思う気持ちが切なく、感動した。
・チカップが自らの運命を語り終わった後、最後に「私」の物語が語られるが、必要だったのか?チカップの物語が終わるところで小説を終わらせた方が余韻が残ったのでは?
・『ゴールデンカムイ』でアイヌに、遠藤周作『沈黙』や原田マハ『風神雷神』でキリシタンの弾圧に興味があったので、興味深く読めた。
・「歴史の記録には残らなかったが、ひょっとしたらこうした人もいたかもしれない。この出来事どうし、この土地どうしは、もしかしたら関係していたかもしれない」と読者に提示する、壮大な想像力と構想力を感じさせる小説だった。
・全体を通して、女性や少数者に対しての暴力性や残酷さ、大切な人を遠くにあって思う切ない感情を感じた。
読書会の課題本とは別に、最近読んだ本、気になった本を、参加者からご紹介いただきました。
第5回の読書会は9月7日(土)19時30分から、マリオ・バルガス=リョサ『楽園への道』を課題にし開催します。ボリュームのある小説ですが、夏休みに読む時間が取れる方も多いはずです。初めてのご参加、zoomでの参加も歓迎ですので、ぜひご参加ください。お申し込みはPeatixにて受付しております。