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『中国ジェンダー史研究入門』【新人読書日記/毎日20頁を】

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新人読書日記シリーズ、4冊目。
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#歴史

進歩か後退か【新人読書日記/毎日20頁を】(66)

「中国ジェンダー史研究入門」、441〜463頁、読了です。 これで、全体を読み終えました。 コラム5では、セクシュアル・マイノリティをテーマとし、前近代から2000年後までの男女の同性愛について、議論しています。同性愛が一般的といわれる明・清時代もありながら、アメリカのドラマの同性愛に触れるシーンが全部消されてしまったのはつい最近のことです。世界中でLGBT運動が広く展開されている一方で、中国におけるセクシュアル・マイノリティの扱いは一体進歩しているといえるでしょうか?

「今」を知るには歴史を学ぶ【新人読書日記/毎日20頁を】(60)

「中国ジェンダー史研究入門」、321〜340頁、読了です。 本章では私は再び歴史を学ぶ重要さを感じました。今まで個人の体験と感覚で捉えてきた社会の現実は、所詮破片のようなものです。歴史の目で社会の変化を見ることこそ全体像を論理的に捉える良い方法です。実行されてきた政策と歴史上の大事件は知っていますが、ぼやっとしたイメージしか残っていません。やはり時間順で研究者のコメントを対照しながら歴史を概観する方が、無秩序に見える現実でも頭の中でグラフ化され、理解が深まり、新たな知見を得

近現代の「女工」【新人読書日記/毎日20頁を】(59)

明けましておめでとうございます。 今年も新人読書日記をよろしくお願いします。 「中国ジェンダー史研究入門」、301〜320頁、読了です。 本章「近現代の女性労働」では女性の労働事情について論じています。初めて家から外に出て工場といった職場で働き始めた彼女たちが直面した社会からの偏見、労働条件の問題と地域差別などが取り上げられています。大学を卒業してスムーズに社会人となり、会社に勤め始めた私にとって、当時の女性たちのプレッシャーは想像を超えるものがあります。また、「工人」と

小説と歴史【新人読書日記/毎日20頁を】(52)

「中国ジェンダー史研究入門」、161〜180頁、読了です。 本章の著者は北宋の類書『太平広記』と南宋の志怪小説『夷堅志』(いけんし)より女性が労働しているシーンをそれぞれ引用し、当時の女性の働く様を描写しています。前回も言及したように、重要史料でも、編纂者の偏見が含まれている場合が多く、現実との違いが少ない史料を見出すには、色々と工夫が要るというわけです。ここでは、小説類に着目して、唐宋時代の生活を垣間見ることができます。小説は、基本のストーリーは架空ですが、背景の社会環境

中国ジェンダー史研究入門、はじめに・・・【新人読書日記/毎日20頁を】(44)

「中国ジェンダー史研究入門」、1〜20頁、読了です。 「昔の女性は惨めだったよ。」という言葉は子供の頃からよく言われてきました。どのように「惨め」だったのでしょう?また、なぜ「惨め」ではなくなったのでしょう?この本を見た瞬間、すぐ読みたくなったのは、おそらく、そういった疑問をずっと抱いていたためかもしれません。 先秦より現在に至る、長い歴史の中で、中国の女性が社会にしめる立場はどのように変化し、今の在り方に辿り着いたのか。武則天、李清照を生み出した時代と江青を生み出した時