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『人生の意味の心理学』【新人読書日記/毎日20頁を】

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#人生の意味の心理学

「人生、何周目?」・・・【新人読書日記/毎日20頁を】(08)

「人生の意味の心理学」141-160頁、読了です。 「生」の反対にある「死」についてどう思いますか。 前回も言及したように、死への態度は生への態度に影響を与えるというところは面白いと思います。今日読んだ辺りの「3つの人生観のパターン」で、「死の解釈」と「死を前にした人生の意味」と、二つの問いがあります。有神論者にとって、死はゴール。天国に行くか、地獄に行くか、それはこの人生の勝負です。無神論者にとって、死は結果。存在が消滅し、全てが一瞬で無になります。 最近私は「ブラッ

意識しながら行動しよう【新人読書日記/毎日20頁を】(07)

「人生の意味の心理学」121-140頁、読了です。 この20ページで、作者は人生の意味の反対である実存的空虚について語っています。 「意味の源」が多様であること、「意味の幅」が広いことが実存的空虚の低さと相関するという論点は、すごく啓蒙的だと思いました。つまり、この人生で追求していることが多ければ多いほど、人生が充実し、虚しさが減っていくと私はこう理解しています。当然、ここの追求は動物的な欲求に限られるものではなく、2章で語られている意味の源のように、「健康」、「関係」、

人生の意味と人生の目的...【新人読書日記/毎日20頁を】(06)

「人生の意味の心理学」101-120頁、読了です。 この辺りはそれぞれの精神科医・心理学者により開発された様々な心理尺度の中の代表的な心理尺度が紹介されています。中にフランクルの弟子であるクランボウとマホーリックが開発したpurpose in life test(PIL)は、人生の意味の心理尺度として、意味より目的志向的な傾向を持つものとして指摘されています。それは人生に目的があっても意味がない場合が多いですし、目的がなくとも意味がある場合も多いからです。目的と意味の区別は

時よ止まれ、汝はいかにも美しい!...【新人読書日記/毎日20頁を】(05)

「人生の意味の心理学」81-100頁、読了です。 ここで私はゲーテの戯曲『ファウスト』を思い出しました。ファウスト教授はあくなき知識欲を満たしきれないことに、絶望し自殺しようとしたところ、現れた悪魔と契約を結びます。悪魔の力で若返り、富や美女を手に入れた後に、年を取らない無限の虚しさを感じたファウストは世界を作り直そうと決意します。それでやっと生き甲斐を見出すことができ、全てに満たされ、「時よ止まれ、汝はいかにも美しい!」と叫んだのです。 ファウストのように、快楽主義より

ニヒリズム=還元主義か【新人読書日記/毎日20頁を】(04)

「人生の意味の心理学」61-80頁、読了です。 精神科医・心理学者のフランクルが学問上のニヒリズムを「還元主義」と呼ぶ話が面白いと思いました。 確かに、複雑な問題を単純化し、解決しやすくするのは賢い方法ですが、人生や人生の意味をあまりにも単純化しすぎ、本質的に考えたら、面白さも失ってしまいます。むしろ人生というものは、複雑であれば複雑であるほど面白いと言ってもよいのではないでしょうか。但し、面白さの盲目的な追求で、乱歩の「鏡地獄」にあるように「鏡の地獄」に落ちないよう要注

休日の旅行者のように【新人読書日記/毎日20頁を】(03)

「人生の意味の心理学」41-60頁、読了です。 この20ページを読んで、心理学が哲学から発展したということを初めて知りました。 Wikiで「心理学」のページを参照すると、「ギリシャ哲学からの起源」があります。心理学が存在しなかった時代の賢人たちの魂/心についての考察が一番オリジナルで素朴な認識と言えるようですね。 「人生の意味を考えるのはリビドーが満たされていないからだ。」と考えるフロイトから、「人生の意味が問われるのは人間の本質的な欲求だ。」と考えるフランクルまで、心

神様が死ぬ前の世界を見てみたい【新人読書日記/毎日20頁を】(02)

「人生の意味の心理学」21-40頁、読了です。 ここで著者は人生の意味について今までの哲学の観点を概観しています。有神論者と無神論者の人生の意味の定義は完全に違いますね。 この辺りを読むと、ニーチェの言葉「神は死んだ(GOD IS DEAD)」を思い出します。この言葉は神様を信じる人には人生の意味の答えも揺るがすものだったかもしれませんね。自分に人生の意味を定義し、与えるその神自体が存在しないとすれば、人生も一瞬にして充実から虚無に一転します。さすが「徹底的な虚無主義者」