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命の選択
「あれっ…」
検診のとき、先生がそう小さく言って表情が強張る。
あー…何かあったのか、私の赤ちゃん。
3年ほど前に稽留流産し、
妊活もしばらくする気になれず、
やっと妊活し始めたある病院では、
「みんなもっと勉強してる、今更」と吐いて捨てるように言われ…
妊活もうまくいかず、諦めたところにやってきた、大切な命。
前の検診からほとんど推定体重が変わらない。
頭が大きく体が小さい。
「うちでは診られません」
先生はハッキリ言いました。
今ならまだ下ろすこともできる、
とまずは検査をすすめられました。
「いつならいけますか?」
その場で、近くの小児専門の国立病院に電話してくれています。
私はまだ何の消化もできず、
なんで、どうして、何が???
何も考えられない状態でした。
①赤ちゃん自体に何かある
②母体に何かある
①の可能性を調べるために、
もともとは、しないつもりだった羊水検査をすることになりました。
今ならまだ下ろせる、とても嫌な響き。
でも、先生の声はとても誠実でした。
“ちゃんと向き合って自分で答えを出しなさい”
ということだったんだと思います。
それからインターネットでたくさん調べました。
頭が大きくて体が小さいってどういうこと?
どんな可能性があるんだろう。
この子に何があったんだろう。
調べても調べても自分の赤ちゃんがどの状態なのかはわかりません。
たくさん泣きました。
全く眠れませんでした。
目をパンパンに腫らして…
翌日は早朝からの生放送。
きっと仕事に救われていたと思います。
そして国立病院で検査前の検診。
3人の男性の先生のチームでした。
・一人は誠実に冷静にありのままを説明してくれる先生
・考えられるリスクについて話し甘く考えるなよ、というプレッシャーをかける先生
・エコーをしながら優しく話しかけてくれる先生
最強タッグです。
法的に堕胎手術ができるのは妊娠週数が決まっています。
その時は意味がわかっていなかったのですが、羊水検査の結果を待っていたらそのタイミングを過ぎてしまうとのこと。
なので、先に3つの染色体検査をするとのことでした。
(21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミー)
そして、迫られました。
もし何かわかった時、どうするか決めるように。
またたくさん調べました。
そして私は先生にダウン症は生もう。
18トリソミー、13トリソミーは
死産や男の子(すでにわかっていた)が短命の確立が高いと調べて、
その場合はサヨウナラをしようかと思いました。
18トリソミー、13トリソミーのお子さんを立派に育てている方も
たくさんいらっしゃいます。
だからここは誤解のないように、
その時私が思ったそのままに書かせていただきました。
でもね、そう決めようとしたら…
初めて、胎動を感じたんです。
初めて、うにょうにょってお腹の中で動きました。
「僕は生きてるよ、元気だよ、
大丈夫だよ、生まれたいよ」
って聞こえました。
号泣しながら夫に、
「私はどんな子どもでもこの子を産みたい。
外の世界を見せてあげたい」
と言いました。
もちろん夫の答えはYesでした。
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