見出し画像

「実は在日韓国人なんだ…」カミングアウトされた時に、思う事。

※この記事は某所にアップしていた過去記事の再掲です。
(初掲:2012.03.24。やや追記あり)

Twitterやnoteを見てくれる人には何を今更と言われるだろうけど、
俺は在日韓国人の家庭に生まれて、通名も持たずに育った。

家庭の方針で朝鮮学校に通ったけど、当時の自分を褒めてやりたいのは、
・良い仲間を作ったな
・よく悩み抜いたな
の、この二つ。

(黒歴史が多過ぎて、叱咤はここには書ききれない。苦笑)

アイデンティティについては、本当によく悩んだ。
「自分はなに人なんだろう」なんて根っこの部分から悩むから、
一般に比べて、悩みが深かったんじゃないかと思う。

でも、それは何の自慢にもならない。
おそらく、在日韓国人のほとんどが経験する道だからだ。

与えられた環境は違っても、在日なら、周囲との差異について考えたり、
アイデンティティの事でひどく思い悩む時期がある。

同じ在日韓国人であっても、
日本名を与えられて育ち、日本学校に通ったなら、
そこには俺の知らない種類の悩みがあるだろう。

**********

大学からは日本の大学に通った。朝鮮学校を卒業して初めて、本当の意味で「日本人ばかりに囲まれて暮らす」生活が始まった。

どんどん増える、日本人の友人・知人たち。その中には、

『・・・実は自分も、在日なんだ・・・』
と、カミングアウトしてくれる人もいた。

実際、在日韓国人である事を隠さずに暮らしていると、
カミングアウトをされる機会はとても多い。

彼らの顔は真剣で、眉間にシワを寄せて話す者もいる。その口調は重い。
知り合ってから打ち明けるまでの間、それぞれに悩んでいたのだろうと思う。

その多くは、日本人名を持ち「日本人」としての環境を与えられて育った人々だ。完全に日本人に囲まれながら、『でも本当は自分は・・・』と、どこか疎外感のようなものを抱えながら育ってきたんじゃないか、と想像する。
そこに「話せる相手」が現れた、という気持ちなのかもしれない。

でも、そんな彼らの真面目な気持ちは想像しながらも、
俺は彼らに対していつも、つい

「へえ。」

の一言で済ませてしまう。

重く悩んでいた相手は、拍子抜けのような顔をする。

俺も彼らの苦しみは想像するし尊重するけど、
どうしたって、彼らみたいな重たいテンションで応えてあげる事はできない。つい、軽いノリで応えてしまう。

だって、珍しくないし。

それに正直なところ、

君の"祖父母の出身地"なんか、どうでもいい。


『地元トーク』みたいな事ができればまた違うのかもしれないけど、
俺達はそんなトークができるほど、朝鮮半島の事なんか知っちゃいない。

なんたって朝鮮半島出身なのは、祖父母だ。知るか。

だから俺にとってみれば、君が何民族だとか、
(話題としては出身地以上に)どうでもいい。

君は、君だ。

もう、友達だ。

自分のルーツを明かす程度の事を、
そんな重大事のように話さなくたって、いい。

インターネット上にいる、ひっでえ連中を見た事があるかもしれないけど。
でも出自の話なんて、本来は、そんな大した話題じゃないはずなんだ。

君の友達は、「君が日本人だから」君と一緒にいるわけじゃない。

『・・・もうちょっと、皆が軽いノリで、何でも“カミングアウト"できる世界になったらいいのにな。』

彼らの眉間に寄ったシワを思い出しながら、本当にそう思う。

そうして、

『君がなに人でも好きだよ』なんて当たり前の事を、
いちいち言わなくてもいい、

そんな世界になったらいいのにな。


※管理人のTwitterアカウントはこちら→ @kyonghagi

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?