髪の毛、どうしてる?

髪の毛を切ってもらうのが好きだ。

三歳になるかならない頃だと思う。
近所の床屋さんへ行って髪の毛を切ってもらうことがあった。

家に帰ると母親が
「あら。切ってもらってきたの?じゃあ、お金払いに行かないと」
そう言ってお金を払いに行ってくれていた。

そう、わたしは三歳の頃からずーっと好きなのだ。
髪の毛を切ってもらうのが。

わたしは毛量が豊かだ。

若い時はそれが気に入らなかったのだけど
ここへ来て毛量が豊かなことはとてもありがたいことだと思う。

切っても切ってもまだ切る毛がある。
美容師さんにそう言われたことがある。

四十代の頃、白髪染めが嫌になった。
まず地肌がピリピリと痛むのが苦痛。

三週間もすれば根本が白くなってくる。
ああ、まただ。地肌のピリピリ。憂うつ。

当時の夫に頼んでバリカンで坊主頭にした。
髪の毛をリセットしたかった。

子どもたちはまだ小学生くらいで
学校から帰ってきてわたしの頭を見て泣いた。

「(ママっ。どうしてそんなことしたのっ?)」

予想だにしていなかった過激な反応にたじろいだ。
そこでやっと自分が学校から帰ったら母親が坊主になっていたら、
と想像してみた。

あれ?そうか。これってショッキングなことだったか。

それからしばらく、子どもたちの態度はなんだかこわばっていた。
わたしのことを見てくれない。

スカーフとか巻いてみたりもしたのだけど。
あれってけっこうあついのよ。

母親の長い髪というのは子どもを安心させるのよ。
という人がいる。
そうなのかもしれないなと思う。
悪いね。ショートカットヘア専門で。

コロナ禍、美容室が閉まってしまっている間に
これはいい機会だと二度目の坊主頭にした。

この時は子どもたちももうずいぶん大きかったし
「(もうママったらまた?)」
という無関心な反応で助かった。

髪の毛なんてすぐに伸びる。
基本的にそう思っているのだ。

なんたって切っても切っても髪の毛はまだまだあるし。

そうはいっても昔に比べると髪の毛はずいぶんと細くなった。
かつてはボブスタイルで頭をふると音がするくらいだったのに。

だんだんと好きになる自分の髪の毛。
不思議なもんです。

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