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国民はバーラトよりインディアを選んだ

こんばんなまらステ🧡Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

長い。

兎に角長い。

どーして1ヶ月半も選挙をしているのかわからない。

選挙期間のうちに政権与党がなにかバラマキをやればたちまち有利になると思うんだけども。

兎に角昨日のインド下院総選挙が終わり、一応与党連合が勝ったものの注釈つきの結果になった。

インドは多民族というか多言語国家なので、全国で活動している政党って実はそんなにない。

その代わり地域政党が無数にある。

現与党であるBJPも旧与党かつ現最大野党のコングレスも、考え方の近い地域政党と組み、連合体をつくって国政選挙に臨んでいる。

インドの総選挙は5年に1回、2019年の総選挙はBJPが単独過半数を取り、やりたい放題だった。

今回もそれが続くと見られていたけれど、国民会議側は反モディ首相、反BJPというだけで、共産党をはじめぶっちゃけ考え方が違い過ぎるような政党とも手を組んで戦った。いま日本の野党第一党もそんな感じだよね。

んで野党連合はIndian National Developmental Inclusive Allianceを名乗った。直訳すればインド国家開発包括同盟だけど、インド人は英語の頭文字を繋げて漢字みたいな意味を持たせるのが大好き。

頭文字繋げたらINDIAになるわけよ。こんなんどーみたってそっちが先で、意味は後から考えたに決まってる。

これを揶揄するかの如く、BJP側はヒンディー語の国名であるバーラト(Bharat)をますます強調するようになった。

もちろんINDIA側だってバーラトを揶揄して、そう名乗ってる部分もあるんだが。

インダス河というかインダス自体が河を意味する言葉で、それがインド、ヒンドゥ、シンド、印度、天竺などの呼び名の由来になっている、というのは有名。

その地の名はアレキサンドロス大王を通じて欧州にも広く伝わり、そしてその地を支配した英国もそこをインディアと呼んだ。

英国から独立する際も英語ではその呼称を継続したけれど、将来の公用語としたヒンディー語では英国支配からの脱却を込めてインダスと関係ないバーラトと称することにした。インダスの大半がパキスタン領になってしまったというのも大きいね。

バーラトはバーラタ王の領土という意味で、『マハーバーラタ』については聞いたことがあると思う。マハーは「偉大な」ね。マハラジャ、マハトマ=ガーンディー、マハーカツカレーなどなど。

んでインド憲法は英語で書かれ、ヒンディー語の公式訳がつくというかたちなのだけど、その第一条、日本国憲法でいえば象徴天皇のことが書かれている超重要な書き出しは、'India, that is Bharat'から始まりこれ以降はすべてIndiaとなっている。

立憲主義である以上、正式な国名はバーラトなんだろうけど、この国名は北インドのヒンドゥー教徒以外からは支持されていない。

現与党BJPはBharatiya Janata Partyの略称。インド人民党という和訳が定着しているけれど、バーラト人民党の方が正確な和訳だと思う。

BJPはヒンドゥー教至上主義とよく紹介されるけど、それだけじゃなくヒンディー語至上主義でもあり、北インド至上主義でもある。

ヒンドゥー教至上主義だけならもっと南インドでも支持集めれるって。

BJPは中国共産党を抜いて党員数世界一の政党だけれども、BJPの党員や支持者たちは同じヒンディー語を喋っていても違和感がある。

サンスクリット語のデリー近辺における口語方言に、その地の支配者になった歴代イスラーム王朝がペルシャ語、アラビア語の語彙を混ぜたのが、パキスタンの公用語であり、インドでも憲法の指定言語として公用語に次ぐ位置にあるウルドゥー語。

これに対してヒンドゥー教徒たちがウルドゥー語をもとにサンスクリット語の語彙に置き換えたのがヒンディー語。

それでもペルシャ語、アラビア語、そして英語からの借用が多いのを、この人達はサンスクリット語に強引に置き換えて喋る傾向がある。

これってもうバラティヤ語って呼んでいいと思うのよ。

英語にしても、単語だけヒンディー語、サンスクリット語に置き換えて喋るような感じで、ヒングリッシュならぬバラティングリッシュとでも言うべきで。

先般、ウッタルプラーデシュ州アヨーディヤで、モスクをぶっ壊してラーマ寺院を建立したのも、なんというかもうヒンドゥー教じゃなくてバーラト教って感じがするよ。

例えばヴァラナシだったり、ヒマラヤの奥地だったりは南インドのヒンドゥー教徒でも一生に一回は巡礼に行ってみたい場所なのね。でも、彼らがアヨーディヤのラーマ寺院に行ってみたいとは思わないんじゃないかな。

ということでバーラトは北インド人のヒンドゥー教徒が支配する国、インドは多民族、多言語、多宗教の人達が統合する国というイメージになってくる。

後者のアイデンティティが英語で語られるってのは皮肉ではあるけど、それしかないのよ。中国のようにマンダリンで塗り固めることはできなかった。

初代首相ネールー以降世襲で政権を続けたコングレスだって、本当はヒンディー語で統一したいと思ってたよ。でもそこまでの強権を振るうことができず、よく言えば多様性のある、悪く言えばバラバラな国になった。

今の状況を容認するのがコングレス、否認するのがBJPということもいえる。

んでこの5年間、モディBJP政権は圧倒的議席数に押されてインドのバーラト化を進めてきたように思う。

とくに昨年のG20でムルム大統領が「バーラト大統領」を名乗って各国に招待状を送り、会議でもモディ首相の座る議長席のネイムプレートが「バーラト」になっていたことには世界がドン引き。

これは野党連合INDIAに対する当てつけ感はあるにしても、総選挙でBJPが勝ったらマジでバーラトになっちゃうんだろうなと。

んで総選挙の結果としては下院543議席中BJPは240議席しか取れず、単独過半数を取れなかった。前回は303議席だからね。

一方で野党第一党のコングレスは99議席に留まったけれど、INDIAとしては234議席。

与党連合NDA(国民民主連盟)で過半数の293議席を取ったものの、絶対的に従順な友党ではないのよ。

とくに与党第2党のテルグデサム党がキャスティングボートを握り、コングレスとも接触していると。

南インドのテルグ語圏の人々、アーンドラブラーデシュ州とテランガーナ州の基盤を置く政党で、政治的なスタンスも実はコングレスの方に近い。

地域政党が国政政党と組むときの枠組みは政治的スタンスが近い遠いで単純に決められるものじゃないので、コングレスに就く可能性は低いけれど、この政党がバーラト化を支持するとはとても思えない。

テルグデサム党の出方によっては政権交代もなくはないけど確率は低い。国民は経済発展を中心にBJPに職責を担わせることについては同意しているけれど、インドをこれ以上バーラトにさせていくことは拒否したと考えていいんじゃないかな。

日本ではこんな感じで、与党をほどほどに負けさせることをお灸を据えるというよね。

インドだったら与党をサドゥ(苦行僧)にさせた、とか言うのかどうかは知らんけど。

ここから5年間はある程度、南インドやムスリム、少数民族などに配慮していくしかないけれど、これがBJP支持者たちの強硬派から見ると不満が出るだろうとは思う。

それでもモディ首相はバランス感覚が極めて優れている政治家だとは思うので、時々はうまーくガス抜きをさせながらもやっていくんじゃないかな。

とりあえず彼の国はあと5年はインドなのでしょう。

知名度のない国を売っていく苦労についてはひとまず棚上げされたってことで。

それじゃあバイバイなまらステ🧡厚沢部煮切でしたっ✨










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