愛が壊れた日
こんばんなまらステ🩷Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨
嗚呼、とうとうこの日が来てしまったよ😭
まず、ジェットフォイルの正式名称はボーイング929といって、日本人によく知られたジャンボことボーイング747や準国産機として注目されたボーイング787の親戚。
ハイドロフォイル(水中翼船)といって、簡単に言えば水面を漕ぐのではなく飛ぶ、船というより飛行機の仲間だと思ってもらえたらいい。
旅客船は種類にもよるけど15〜25ノットくらい。高速船と呼ばれるものは30超えが目安かな。1ノットは1.852km/hなので、2倍弱くらいで計算してくれたらいい。
これに対してジェットフォイルは45ノット。
一般的な野球の投手と大谷翔平投手や佐々木朗希投手くらいスケールが違うと思えば、いいかな。
ハイドロフォイルは本来乗り心地が死ぬほど悪いものだったけれど、ジェットフォイルは乗り心地も良好で、軍事技術を1974年に旅客転用、1977年に佐渡汽船によって日本に初導入されて以後、離島の足として定着することになる。
現在はボーイングから川崎重工業にライセンスが移管されて国産機も登場している。
だけど致命的な欠点があって、元が飛行機なのでコスト構造がそれと一緒なのね。
それに目を付けた三菱重工業がスーパーシャトル400という競合機を開発して、コストをウリにしたけども隠岐汽船以外でまったく売れなかった。
理由としては他にもあるだろーけど、巡航速度がジェットフォイルより5ノット遅い40ノットというのがダメだったんだろーね。
少なくてもジェットフォイルを使っていた航路にスーパーシャトル400を走らせる、要するに鈍足化するのは考えにくいからさ。
結局、隠岐汽船はその後ジェットフォイルに置き換えている。
現在日本にある旅客用のジェットフォイルは以下の18隻。()に竣工年も載せた。
佐渡汽船 ぎんが(1980)、つばさ(1989)、すいせい(1991)
東海汽船 セブンアイランド愛(1980)、セブンアイランド友(1989)、セブンアイランド大漁(1994)、セブンアイランド結(2020)
隠岐汽船 レインボージェット(1991)
九州郵船 ヴィーナス(1991)、ヴィーナス2(1985)
九州商船 ぺがさす(1990)、ぺがさす2(1990)
種子屋久高速船 トッピー2(1992)、トッピー3(1995)、トッピー7(1979)、ロケット1(1994)、ロケット2(1984)、ロケット3(1990)
このなかで1989年以降は川崎重工業の製造でそれ以前はボーイング製。1989年から1995年までかなり集中して製造していることがよくわかると思う。
1995年をもって国内における需要を満たしたといい、川崎重工業は製造をやめてしまった。
その後四半世紀ぶりに東海汽船のセブンアイランド結を新造したことについては後述する。
ジェットフォイルの耐用年数は35~40年程度といわれているなかで、種子屋久高速船のトッピー7が1979年竣工で45歳、佐渡汽船のぎんがと今回事故ったセブンアイランド愛は1980年竣工で44歳と長老感満載。
そして種子屋久高速船のロケット2が40歳、九州郵船のヴィーナス2が39歳もそろそろ限界。
要するにボーイング勢は全部ご老体に鞭打ってるんだよね。
セブンアイランド愛が事故ったのはどー考えても老朽化。満身創痍なんだよ。
東海汽船では2014年にセブンアイランド夢、2020年にセブンアイランド虹をそれぞれ退役させており、どちらも1981年生まれ。
セブンアイランド愛より新しいくらいだけど、個体差でセブンアイランド愛の方が状態がよかったのだろう。
セブンアイランド夢の代替機としてやってきたのがセブンアイランド大漁で、JR九州高速船からやってきた。
JR九州高速船はもちろんJR九州系列で博多と釜山🇰🇷をジェットフォイルで結んでいた。その後経営方針の転換で速度より輸送力重視になり36.5ノット船になったため、現在はジェットフォイルが走っていない。
ただし、韓国側のカウンターパートである未来高速は博多釜山航路に今もジェットフォイルを使っている。
このときはたまたまJR九州高速船のダウンサイジングと思惑が一致したから良かったんだけど、2020年にセブンアイランド虹が退役するときは国内外で比較的新しいジェットフォイルの取り合いになっており、そーもいかなくなってしまった。
川崎重工業は新造するときは最低5隻は造らないと採算に乗らないといい、当初東海汽船は国内他社と連携して5隻の製造に漕ぎつけようと考えたんだけど、結局上手くはいかず。
みんなそれだけのお金を出すのは厳しく、国の補助を求めたけど、国の動きは遅かった。
それをもう待てない東海汽船は中古船の部品を再利用してどーにかセブンアイランド結を造ってもらうことにして今に至る。
しかし依然として耐用年数的にヤバいジェットフォイルがまだまだたくさんいる。セブンアイランド結以外で一番の若手である種子屋久高速船のトッピー3ですら来年三十路だからさ。
昨日の事故は国が危機感なく他人事だと思ってたことの証左だよ。こーしたことが起きる前に何とかしなきゃいけなかったんだ。
日本の離島はもうジェットフォイル無しでは社会が回らなくなっている。2021年夏に仕事で式根島に行ったんだけどさ、そのときに痛感したよ。ちなみにセブンアイランド結だったけどね。
しかしながら、この問題の本質はいま老朽化してるジェットフォイルばかりでヤバい、じゃないんだよ。
売れ続けるから造り続ける、という市場原理がジェットフォイルにはないことが問題なの。
例えばボーイングの飛行機、ボーイング737なんかいい例だけど、売れ続けるから新造機はどんどん性能やランニングコストが向上していく。まあ最新鋭のボーイング737MAXはいろいろ不具合起きてるけど、スペック自体は優れている。
また、売れ続けるからエアバス320という永遠のライバルとも技術開発競争になる。切磋琢磨というやつよ。
これに対してジェットフォイルら1995年の段階で需要を満たしたといって製造をやめてしまい、それ以上増えないなかで老朽化が進んでしまい困ってるのが今。競合機も一瞬だけあったスーパーシャトル400が敗走したあとはない。
造り続けてないから、半世紀前の技術で止まっていて製造コストだけが引き上がっているという悪循環。
一方でこれなしでは離島の生活が成り立たないから無くせないのよ。
仮に今から公費の補助で置き換えをすべて果たしたとして、またセブンアイランド結が30歳を過ぎる2050年頃から同じことを騒ぎ出す。
逆説的にいえば販路拡大が見込めるなら、好循環が生まれてくる。
国内の離島にほぼ限っているからダメなんだよ。
東南アジアの島嶼部などでもっと売ることを考えるべき、というのがひとつ。
もうひとつは国内でも、離島だけじゃない活路を見出すべきで、最近東海汽船が東京の竹芝桟橋から西伊豆の松崎という便をトライアルでやったのはとてもいいことだと思う。
東京から南伊豆、西伊豆というのは道路や鉄道の隙間を突くルートとしてとてもアリで、東海汽船には是非ともジェットフォイルを増やして常設化してもらいたい。
季節運航する竹芝ー館山間は約2時間かかるアクアラインバスに対して75分で着いてしまう。これもできれば常設化、かつ3隻使って1時間間隔にしてもらいたいと思う。
竹芝ー下田間は135分で、最速150分程度の鉄道と比較してそんなに優位性がない。だからこそ、南伊豆、西伊豆の方がいいと書いたまで。
いくら短絡してても80km/h程度では、距離が長くなると鉄道にやられちゃうってことなのよね。
金沢から珠洲、福岡や長崎から平戸、鹿児島から南大隅とか、高知から土佐清水や室戸あたりもこのような通勤特急的展開はアリかなと。
もっともっとジェットフォイルを使うべきところはあるのにな、といつも思っている。
今回の事故がきっかけで、このような構造的問題にもメスが入ってくれたらいいよね。
それじゃあバイバイなまらステ🩷厚沢部煮切でしたっ✨
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