見出し画像

178万円の壁は何を生むか

こんばんナマステ💜Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ✨

最近ちょっと話題になっている103万円の壁を178万円に引き上げるという話について考えてみたい。

103万円の壁というのは扶養を外れて所得税が課税されるラインを指す言葉で、基礎控除48万円と給与所得控除55万円を足すと103万円になる。

したがって年収103万円を超えると控除枠を使い切ってしまい所得税が課税されるため、年収103万円の人より104万円の人の方が手取りが少なくなってしまう。

実際にはその前に100万円の壁というのもあって、ここから住民税が課税されるんだけど、年収が100~103万円程度であれば住民税は微々たるものなので、それほどみんな気にしていない。

世帯全員が住民税非課税の場合にはそれなりのメリットもあるんだけど、そーじゃなければ別にってとこで。

103万円の壁を気にしながら働いているのはパートタイムの主婦、主夫、あるいは学生のアルバイトだろう。

この範囲内で働いている人はだいぶ多い。

ところで103万円の壁は1995年以降ずーっと変わっていないのに対して、最低賃金は1.73倍になっている。

その結果何が起きているかというと、まずは物価が上昇しているのに手取りが増えないというマイナス面がある。

その反面、現在年収103万円を得ようと思えば1995年を基準として57.8%の労働時間でいい、ということにもなる。

ここがポイント。

労働者にしてみれば余剰時間がもの凄く増えるので、ワークライフバランスが圧倒的に向上する。

例えば子どもを保育園ではなく幼稚園に送り出し、家で洗濯をしてから出社しても幼稚園に子どもを迎えに行ける、というような短時間労働が可能になるし、地域差はあっても実際そうなっている。

学生ならば純粋に空いた時間を学業なり遊びなりに使えるよね。

だけどこれ、使用者つまり企業からしてみると、最低賃金の上昇によって扶養内労働者の労働時間が減っていくことは人手不足を加速しており、頭を悩ませている。

そこで今、30年間見直しのない税制を変え、賃金上昇率に合わせて年収178万円までは所得税を発生させないようにすべき、という主張が出てきているわけ。

ただ所得税だけ動かしてもダメだろうな、とは思う。

まず、年収103万円では微々たるものだった住民税が年収178万円になると結構上がるので、どこかでブレーキがかかって新たな壁ができるだろうと。

住民税もそれに合わせて引き下げたとすると、今度は地方自治体の財政が苦しくなる。

それから130万円の壁といって、社会保険の扶養から外れるラインが存在する。

これを放置しておけば結局、ここが壁になって手取りを増やす施策の意味が半減してしまう。

ここではこうした問題をクリアして、178万円の壁が実現したと考える。

するとこれまでの扶養内労働で働いていた人はふたつに分化されることになる。

それは手取りを増やせることを喜んで、年収178万円を目指して働こうとする人。

もうひとつはこれまでのワークライフバランスに満足し、年収103万円のままでいようとする人。

時給1,000円で考えてみると年収103万円なら年間労働は1,030時間、52週で割ってみると19.8時間。

週5日勤務なら1日4時間労働、1日8時間労働なら週2.5日勤務といったところ。

これがいいって人がいるのはよくわかるでしょ。

じゃあ時給1,000円で年収178万円ってことは年間労働は1,780時間、52週で割ってみると34.2時間。

1日6時間労働×週5日勤務、1日8時間労働×週4日勤務、セミフルタイマーといっていい。

すると何が起きるか。

企業は178万円の壁で働く人を優遇して、103万円のままでいようとする人を冷遇するんだよ。

公共交通機関が便利だったり、駐車場が完備されていてどんな時間でもアクセスできる職場ならまだいい。

だけど郊外にある工場や倉庫で駅まで送迎バスを出しているような職場は、例えばそれまで出していた14時とか15時とかに退勤するバスを出さなくなるかもしれない。

税制が働き方を硬直させている、というのが控除額引き上げを叫ぶ人達の主張だけれど、現場知らないんじゃないの、って気もするのね。

ちなみに壁が引き上げられたらその分だけ働くだろう人と、そーじゃない人はきれいに分かれている。

硬直した税制がある意味で多様な働き方を実現させていた事実を忘れちゃいけないのよ。

いまタイミーを筆頭にしたスキマバイトアプリが隆盛しているのも、短時間労働に対する需要の高さがあるから。

短時間労働者が日本の経済を支えている事実ももっと知らないといけないよ。

フルタイム、セミフルタイム、スキマバイトのポートフォリオを上手く組んだ職場が勝っていくことになるんだろうね。

年収の壁の引き上げ論に諸手を挙げて賛同している経営者がいるとしたら、人手不足倒産一歩手前だと認識した方がいい。

働き方をできるだけ自由にした企業のみが生き残れるってことやね。

それじゃあバイバイナマステ💜暑寒煮切でしたっ✨

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?