「政治×教育」~レッジョエミリア市の保育政策に学ぶ~
JIREA・SEDEP共催シンポジウム“乳幼児の学ぶ権利を保障する自治体の役割”に参加して…
2024年1月20日㈯東京大学伊東国際学術研究センターのホールにて、上記のシンポジウムに参加してきました。
北イタリアのレッジョ・エミリア市でレッジョ・チルドレンの代表を務めるクリスチャン・ファッビ氏が来日されていて、レッジョエミリア市の保育政策の変遷、最新の取組状況について様々な話しをして下さいました。
シンポジウムの内容を踏まえて、私自身の感想も併せて載せていきます。
◯講演会めも
・レッジョの取り組みは、一人ひとりの子どもの声を聴くことを大切にしている。「100の言葉」
・北イタリアにある17万2000人の都市、幼児教育の質の高さで注目されている。戦後、女性が多くの声を挙げて学校を建設したことが始まり。(1947年)
・“参加の精神”がキーワード、子ども、保護者、保育者、一般市民、議員…様々な人が参加して、幼児教育や保育について協議をしている。
・社会と学校をどう繋げるか?を考える。学校や幼稚園、保育園は民主主義の場である。
・メソッドではなく、アプローチを大事にしている。
アプローチ:様々な国々の文化や伝統に沿ったもの
・子どもたちの教育は遊びを通して行われる。子どもと大人が一緒に物事を進めていくプロジェクトをドキュメンテーションで伝えている。
・子どもたちのもつ“権利”を重視している。繰り返していくと、自分の能力を信じるようになってくる。子ども・保護者・保育者が互いに信頼する。
・「教育」の語源はラテン語の「中から引っ張り出す」詰め込むことではない。キーワードは“創造性”
・教室が第3の教育者、環境からアプローチしていく。少人数で活動することも大切にしている。→一人ひとりの声が聴こえる
・アイデンティティと多様性
子どもの感情や人間関係に投資する。学びの結果でなく過程に注目する。
◯対談めも
?トップダウンではなく、市民が考えるようになる土壌づくりや、幼児教育の哲学をもち、アプローチしていくには…
・幼児教育に参加してもらう機会を沢山作って、参加の選択肢を増やす
ex)乳幼児施設を選択できるようにする、イベントを様々な形で開催する(活動の内容や時間を変えながら参加しやすい環境づくり等)
・政治と教育は、もろい関係だが必要な関係。毎時対話をしていく。
?子どもたちの“ニーズ”でなく“権利”に焦点をあてているのはなぜ
必要なものを与えてもらう→負い目が出てきて、立場の違いも出てくる
権利だと立場は同じ。子どもも一市民と捉える。
そうすると、一人ひとりが他の人の権利も認められるようになってくる。
権利は、責任感を伴う。責任感は参加から生まれる。
◯シンポジウムに参加して感じたこと
今までレッジョエミリア市の取り組みや教育アプローチを詳しく知る機会がなく、「幼児教育がすごいって言われている所」という曖昧な認識のみだったので、今回どのような背景で継承されているか、実際の取り組みや大事にしているポイントを聴くことができて、感銘を受けました!
話しを聴いていて1番に思った日本との違いは、
「質の高い幼児教育がより良い社会を作る、ということを国(市)全体が理解していていること」でした。
私たち保育者が今できる事は、日々の保育の中で
・子どもたちが学んでいる遊びの中の育ちを言語化したり写真や映像を使ったドキュメンテーションで表現すること。
・子ども・保護者・保育者・地域の方々が保育に参加できる様々な場づくりやきっかけ作り、保育について考えて話し合える環境作り。
だと思いました。
また、自治体ごとに幼児教育や保育について考える大切さや、政治、政策と絡めていく必要性も強く感じました。
レッジョの方々の幼児教育に対する情熱に触れて、私もできる事から始めていこう!と決意しました。やるぞ~!!!!
◯おわりに…
実は今年度、あるプロジェクトに年長の担任として関わらせて頂いていて、実践研究を日々している所なのですが…
まさに、アーティストの先生に保育に入ってもらい、少人数での活動を計画して様々な道具や素材を
物語やイメージを基に遊びを展開していくという取り組みで、レッジョのやり方と似ている所があった為、より感銘を受けた次第でした。
またこのプロジェクトも、すーーーっごく素敵な物で3月まで継続していく物なので、まとめて詳しくご紹介したいと思います!
以上、たまたま見つけて参加したシンポジウムで学んだことでした。
久々に参加したから、視点がぐわ~っと広がって熱量も上がって日々の保育がより楽しくなりそう!
目の前の子どもたちも可愛いし実践も素敵だけど、
理想を知ったり学んだりすることは忘れていけないと再認識。
年長ラスト3ヶ月、子どもたちと共に走り抜けたいと思います!
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