ムンさん、故郷へ帰る

ムンさんは国家元首である。

多忙な彼の唯一の楽しみは、年に一回の帰省である。

今年の夏も、ムンさんは木造駅のターミナルにいる。降りたのはムンさん一人、周りは田んぼばかりの辺境駅である。

「ムンさん!」

突如として蝉の鳴き声が切り裂かれる。振り返ればメチャクチャデケェさま〜ずミムラの顔である。

そう、クソでかいミムラになっちゃう奇病を患ういとこの佳子である。

そんなものはない、そんなものはない。

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