入道雲の魔法

にゅうどうぐも、と呟いたら

あたまのなかで青い空が、でーんと出てくる

そこに、もくもくと白い大きな雲が浮かんで、風が吹く

ぬるりと肌にまとわりつくような木陰

体の芯を射抜くような風鈴の音

どことなく憂鬱な気分にさせる午後の湿った草の匂い

ソーダのピリッとした痛さ

それらが、さあっと通り過ぎた

これが入道の魔法なのだ

だから私は、あの意地の悪そうな塊がなんとなく好き

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