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殴る友達 と チック症(トゥレット症)

0.プロローグ

幼少期の思い出(なんでもない日常の記憶)について話を聞く。
そんな趣味がありまして、昨年末~1月にかけて、
20人程度の方に70以上のエピソードを頂きました。

そのうち半数は文字起こしして、短編ストーリーになるように勝手にいろいろ脚色したりしてnoteマガジン「記憶の欠片(幼少期のエピソード)」に投稿している。

残りの半数は、なんか面倒くさくなって放置している。
いずれまた文字に起こす予定だが。

さて、今回の話題はそんな頂いたエピソードの1つ
シャインマスカットのaki氏と言えば、ご存じの方も多いのではないだろうか。人畜無害な風の又三郎みたいな彼であるが、
どんな幼少期が彼を作ったのか、興味があるのかい、ないのかい、どっちなんだい!!!!

ややあります。

というわけで、今回のお話は

エピソードNO.34「殴る友達(あきし)」

1.殴る友達

このエピソードの詳細は、noteの投稿を読んで頂くとして、
エピソードの主役「殴る友達」の存在について、
私はずっとしっくりこない部分があった。

彼は幼馴染で親友のあき氏に対して、友情を感じつつも、
いつも暴力をふるってしまう
にもかかわらず、暴力をふるっている側の彼の顔がいつも悲しそうだったというのだ。

あき氏はユニークな人柄をしているので気に障る人もいるだろう、
それが子供時代であれば暴力に直結する事も不思議ではない。
いらん事言って怒らせたとか、そんな感じじゃないかと思っていた。

いや、無理やり思い込もうとしていたんですね。
だって、理解不能だし、よくわかんないんだもん。
ストーリーの構成要素が明らかに足りていない。
この、足りないパーツを見つけたいけど、検討が付かない。
でもそのまま放置できないので、間違っていても結論づける。
そうしないと前に進めないし、もう一人で歩けない、時の風が強すぎてってやつです。
だから、そう思い込もうとしたけど、ずっと心に引っかかっていた。

そんな時に「チック症」という病気を知った。

2.トゥレット症(チック症)

チック症の事はなんとなく知っていた。
意思に反して体が動いちゃう病気?ふーん、ってくらいの感じだった。

だが、この時は違った。
「トゥレット症(チック)で隣の人を殴ってしまう」

こんな感じの見出しに釘付けになった。
aki氏の友達みたいやん、これ・・・

チック症とかトゥレット症と言われるこの病気は、

・突然体が動き出す「運動性チック
・突然大声をあげてしまう「音声チック

が代表的で、軽度なもので言えばビートたけし氏の首をかしげる仕草なども運動性チックではないかと書かれていた。
数ある病気の中でも、チック症のきつい点は、症状によっては、人間関係を壊滅的に破壊してしまう点。
理解できない動きや言動は、人々を恐怖させる。ふざけていると思われる。頭がおかしい、気が狂っているという扱いを受ける。しかも、友人や家族からさえもだ。
現代日本人が命よりも大事にする、人間関係のネットワークから
たった一人疎外されてしまう。

3.出会った事があるはずだ

人の多い地域で暮らしていれば、何度も出会っていると思う。
電車の中や人込みで、
・急に大声を出す人
・奇声を発する人
・腕や足を、急にぶんぶん振り回す人
・大声で卑猥な言葉を叫びだす人
・自分を殴り続ける人

そして、その症状中には、

意思に反して暴力的になる(隣にいる人を無意識に殴り続けてしまう)
というものもあるそうだ。

自分でも何が起きているのかわからないらしい。
こんな悲劇があるだろうか。

4.ありがとう、がんばります

エピソードNO.34「殴る友達(あきし)」
の彼は、チック症だったのか。
確かめる術はない、全く別の理由かもしれない。

だとしても、
”殴る彼”と”殴られるaki氏”の話は、
間接的にだが私にチック症の知識を授けてくれた。
あとは私がこの知識を得た事で誰かを救う事が出来れば、
「殴る友達」エピソードは昇華される。
大丈夫、あと一歩だ。ありがとう。

これからは人込みで隣の人が暴れだしたり、
叫びだしても、優しく無視できるだろう。
トラブルに発展しそうなら助け舟をだそう。
あと、知り合いにたまにこの話をして、認知してもらおう。

って思った。

【終わり】


5.参考)インタビュー記事抜粋

菊地さんがチック症を発症したのは小学校4年生のとき。中学生のときにトゥレット症と診断され、20歳を過ぎた今もなお症状は続いている。

「小4のときに初めて、首を早く回すチック症状が出ました。『あ』という音声チックが始まったのは中1の夏。それが1年以上続いたので、トゥレット症という診断を受けました。小学生のときはからかわれたり、石を投げられたり。友達だと思っていた人がさーっといなくなってしまって、すごく辛い思いをしましたね。中学生になると、『あいつどうしたんだよ』とか、『きもい』とか、陰で言われていたこともありました」

一方の吉富さんにチック症状が出たのは、小学校2年生のとき。

「初めは首振りの症状が出て、それが小学校5年生くらいまでどんどんひどくなっていきました。腕を振ったり、嗚咽が出たり、窒息するような声を出してみたり。あとは、周りによく迷惑をかけてしまったのが、白目。意識が遠のいてるわけではないんだけど、どうしても白目になってしまう。心配した先生によく、保健室に行きなさいと言われてました」

当時の吉富さんをことさら悩ませたのは、母親からの理解が得られなかったこと。チック症の認知が低かった時代背景もあり、吉富さんの母は吉富さんが障害だと認めようとしなかった。

「僕が症状に気付いたのは、母からの指摘でしたが、首をふっている僕に対して母が言ったのは『ふざけるのはやめなさい』という言葉。家族は、だれも病気だとは思っていませんでした。あるとき父親が雑誌の記事でチック症のことを見て、もしかして、と気付いたのですが、母は『これは個性なのだ』と言い張って、なかなか病院には連れて行ってくれませんでした」

親戚の勧めで吉富さんが初めて病院で受診したのは、発症から実に6年が経った中学2年生のとき。周囲の理解があれば、吉富さんの少年期はもう少し違ったものになっていたかもしれない。

ひどくなる汚言症、暴力の的に菊地さんを中学2年から悩ませている症状が「汚言症」だ。自分の意志とは関係なく、公的にふさわしくないような卑猥な単語、人に対する冒涜的な言葉を発してしまうチック症状のことを言う。今でも認知は広まっていない。

そんな菊地さんに大きな事件が起きたのは、中学3年生のとき。

「通学途中の電車で向いに座っていた男性に暴言を吐いてしまい、降り際に殴られました。一瞬何が起きたか理解できませんでしたが、自分の暴言がきっかけだから殴られてもしょうがないと。ただ、ここから電車に乗れなくなり、学校へは親の車で送迎をお願いしていたのですが、精神的にもだんだん辛くなり、家に閉じこもるようになりました。」

菊地さんはこの後2年ほど家にひきこもることになる。汚言症が出てしまうのではないかと思うと、社会に出ることが怖くなり、なかなか外に出られない。車内での暴言のようなことが起きてしまったあとでは、相手に対して説明するのも難しい。汚言症への認知が広がらないのはこのような背景がある。

「周囲の人間がトゥレット症、チック症に対してできることは」という川上の質問に、

「もしチック症やトゥレット症の人を見かけたら、良い意味で無視してほしいなと思います。それを僕たちは“温かい無視”と呼んでいるんです。理解するかしないかは個人の自由だと思うのですが、奇異な目で見られるのは辛いこと。症状を見ても、そっとしておいてくれたらうれしいです。僕は初めて出会った人には全員に症状のことを説明しているのですが、それができない人もいるので」と菊池さん。

吉富さんも「はじめはびっくりするかもしれないが、そっとしておいてほしい」と言葉を重ねた。菊地さんの言う、“温かい無視”が社会に広がれば、症状はなくならなくても、当事者の心理的負担はずっと減るだろう。

体が勝手に動く/言葉が出てしまう-「トゥレット症」を知っていますか? 出会ったときは“温かい無視”を

6.関連リンク


6-1.「殴る友達(あきし)」

6-2.菊地さんの体験がよくわかる、インタビュー動画はこちら

6-3.トゥレット当事者会ホームページより


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