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少人数私募投信の特徴と留意点(その2)-少人数私募と一般投資家私募は同じ意味?

まず最初に、言葉の整理をしておきたいと思います。

少人数私募は金商法の用語で、一般投資家私募は投信法の用語です。

そのため、一般投資家私募という言葉は、投資信託でしか用いられません。

では、投資信託において、少人数私募と一般投資家私募は同じ意味かというと、法令上はそうなっていません。

金商法では、私募に該当しない場合は募集(公募)に該当することになっているのに対し(金商法2条3項2号柱書)、投信法では、公募(募集)及びその他の私募(適格機関投資家私募及び特定投資家私募)に該当しない場合は一般投資家私募に該当することになっています(投信法2条10項)。

よって、例えば、49名以下の者に対し取得申込みの勧誘を行うものの少人数私募となるために必要な転売制限を満たしていない場合、金商法上は募集(公募)になりますが、投信法上は一般投資家私募になります。

その結果、このような場合、有価証券届出書や継続開示書類を提出する必要がある一方で、投資信託約款や受益証券には「一般投資家私募」と書くことになるという、おかしな結論になってしまいます。

そもそも、投信法において「一般投資家私募」の用語は、投資信託約款や受益証券の記載事項を規定するために用いられている程度であり、かつその趣旨も勧誘の種類を記すためのものと解されます。

よって、わざわざ金商法と別個に投信法上固有の概念・用語をもつ必要性は乏しく、立法による解決が望まれるところです。

本稿では、逐一併記するのが煩わしいので、少人数私募(一般投資家私募)による投資信託を「少人数私募投信」と統一して表記することにします。


<参考文献>

『逐条解説 投資信託約款』(きんざい、2019年)

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