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ロシア人YouTuberたちの選択

ロシアがウクライナに侵攻を始めてから約1年。この1年でたくさんの人々の生活が変わってしまったと思う。その中で、この記事では世界に向けて英語で発信するロシア人YouTuberを取り上げ、その動画から、彼らの1年がどのようなものであったのかを紹介したいと思う。

これから紹介するYouTubeチャンネルは、自分が普段から注目して見てきたものたちだ。この記事を書いた理由は、自分以外の人たちにもその動画たちを見てほしいからだ。この記事では概要のみを記述するので、当然、動画の全貌を伝えることはできないし、不正確に伝わってしまうかもしれない。興味を持った人は実際に彼らの動画を見てほしい。

Niki Proshin

ニキ(Niki)はロシアでの生活を発信するYouTuberだ。ウクライナ侵攻が始まってからは、その情勢を取り扱うことが多くなった。日々更新されるロシア国内の起こっている出来事の解説動画を次々と展開した。その後、ロシア政府が動員を発令することとなり、視聴者からはニキを心配する声が多く挙がった。ニキは、当初はロシアに住み続ける予定でいたが、いつかは国外に脱出することが困難になると予期し、決断して即座にチケットを購入し国外へ旅立った。チケットの残りが少なく購入は簡単なものではなかったことを言及している。

ニキが国外の滞在先として選んだのはイスタンブール、その後はバンコクに移動している。彼はロシアを出た後もロシアの情勢を追い続けている。


Natasha’s Adventures

ナターシャ(Natasha)は、ロシア東部のスパッスク(Spassk)という町出身で、ロシアの社会問題から日常生活まで幅広く発信している。彼女は自身のチャンネルの成長で収入が得られるようになったことに驚く一方で、ある不安を抱えている。ロシア政府が彼女の動画から政府にとって危険と見なされる要素を見つけ、逮捕しに来るのではないかという不安である。実際にロシアでは反政府的な抗議をする人々が捕まっている事実がある。ウクライナ侵攻が始まってからは、よりそれが目立つようになった。
ウクライナ侵攻の状況が続く中、国境が閉鎖されるのを恐れ、彼女は国外へ移動することを決断した。ウクライナ侵攻が始まった時点では彼女は大学生であったが、卒業後、ジョージアの首都トビリシへ旅立った。ジョージアを選んだ理由は、ロシア語や英語が分かる人々が多く、彼女にとって住みやすい場所だからだ。ジョージアに移ってからは、同じくロシアからやってきた他のYouTuberとともにジョージアでの生活の動画を発信している。


Eli from Russia

エリ(Eli)は主にロシア国内の多様な民族の文化を発信するYouTuberだ。
彼女の発信する動画はロシアの文化をメインにしており、ウクライナ侵攻が始まるまでは政治的な発信をしてこなかった。プーチンのウクライナへの軍事作戦開始の宣言から約3週間後、ロシアの国内の経済制裁などの情勢を伝える動画を彼女はアップロードした。

また、このような状況の中でも彼女がロシアを離れない理由を言及した。第一に過去に20カ国に訪問した結果、世界に完璧な場所はないことを知ったこと、第二にロシア国内に家族がいることを理由として挙げた。

ウクライナ侵攻が始まってから、「このチャンネルはロシアのプロパガンダだ」といった旨の根拠のない誹謗コメントをもらうこともあったが、自分は政府とは無関係であり、個人の視点で動画を作っていると宣言している。彼女はその後も旅をして多様な文化を発信し続けている。


まとめ

困難な状況の中、ロシア人YouTuberたちの現状を紹介した。彼らの動画には、先が見えない不安な状況の中で、自分にとって何が最良かを選択してきた意思を感じることができる。その選択は多様である。この記事で紹介したのは、ごく一部であり、他にも世界に向けて発信しているロシア人YouTuberがたくさんいる。この先の情勢がどうなるかは分からないが今後も彼らの活動に注目していきたい。


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