たましいの学校　短歌25首

　学校にまつわる短歌です。

小学校の生徒会って意味あるの？　制度のひずみとして要るんだよ

誰ひとりドラゴンソーイングセットを選ばず　家庭科教師の無言

英語教師　据えた目でイレーサーを置きまずは近代史をやれと言う

グラウンドにサンドワームの、校庭にスズメバチの巣が、それぞれあった

公民・政経・歴史・地理のどれでもない社会科のあるキモい学校

コモリガエルのような穴だらけの白衣「自習」と書き殴られた黒板

飼いたいと言ってた生徒が校庭のサンドワームの世話を嫌がる

道徳と数学を掛け持つ教師　男女のトイレを両方使う

「負の数の積は整数。実演で説明します」秒針の音

皇を書き当てられたスメラギが裸眼の漢字博士に惚れる

禿頭で銀色の肌をした人が出てくる英語の特別授業

僕となんにも関係ないトロフィーが落ち着かないから廊下をうろつく　

強豪の対戦校を率いているジャージの初老と目を合わせない

在校生の同調パワーで成長し体育館を蝕むポピー

ないはずの地下室に続く隠し階段の発見相次いでいる

「給食費で学生証を買い戻す」校内川柳最優秀賞

「希死念慮」「球体関節」「座長補佐」などに秀でる漢字博士（偽）

棒倒しと騎馬戦が廃止になって棒と鉢巻きと騎馬を処分

運動会で減った人数分ひらくマリーゴールドの黄色いつぼみ

香草はハーブの異称五限目のテスト変性意識で臨む

自動書記のテスト全員0点で魂の真名教師にばれる

実習生にどうかやさしくしてくれと言う担任の肩で拭く靴

編み上げたクマの煙が立ち上る家庭・道徳のコラボ授業

赤青の卒業証書を受け取った谷が一人で校長室へ

先輩これ！　部活のみんなでこっそり砕いた旧校舎の破片です！