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「応援」の残り時間(1)

普段はTwitterの世界で将棋棋士・井上慶太九段を応援している香子(きょうこ)といいます。
Twitterの140字の限られたスペースでは書き切れない想いを記すためnoteを始めました。

さて記念すべき最初の投稿タイトルは【「応援」の残り時間】です。
(何だかいきなり意味深ですね‥)

若い棋士を応援されている将棋ファンの方は「この先あと何年、推し棋士を応援できるのだろう?」と不安になることはまず無いと思います。
なぜなら棋士のプレイヤー寿命はスポーツ選手のそれと比べると遥かに長く、人によっては50代になってもなお第一線で活躍し続ける事が可能な競技だからです。
20代の棋士を応援しているならその棋士の頑張り次第とは言え、あと30年は公式戦で戦う姿を見ることは高い確率で可能と言えるでしょう。

自分も歳を取る、推しも同じく歳を取る。
推しが勝ち星を上げる時も、上手くいかずにもがいている時も、一緒に年齢を重ねつつ伴走しているような気持ちで応援できる。
長い時間をかけて少しずつ変化し進化していく推しを10年、20年のスパンで見守ることができる。
この素晴らしさが将棋界の魅力の一つだと考えています。

そんな一方で、私はここ数年に将棋を始めたばかりのニワカ将棋ファンです。
40歳を過ぎてから駒の動かし方を一から覚えた弱小級位者で井上ファン歴は4年程度。
ですので私は井上九段がどのような道のりを経て今の場所まで辿り着かれたのかをリアルタイムで応援することは残念ながら叶いませんでした。
だからこそ、この先少しでも長く先生が戦う姿を見たいと願っています。

井上九段は1983年に四段プロデビューし今年でキャリア40年目、来年の2月にはプロ入り40周年の大きな区切りを迎えるベテラン棋士です。
私が井上九段を応援し始めた時、先生は50代半ば。順位戦はB級2組に在籍中。
過去にはA級に3期在籍し竜王戦1組にも在籍経験がある一流棋士のお一人で、その実力は今なおご健在です。
ですが、20年後の70代後半になっても現役で井上九段が公式戦を指しているかと言えばそれは極めて難しいでしょう。
「神武以来の天才」と呼ばれたあの大棋士・加藤一二三先生でも77歳で盤上を去りました。
(なお、この加藤先生の記録は公式戦を戦った史上最高齢記録となっており、今後この記録を破る棋士が出てくることは想像がつかないほどの偉大な記録です。)

さて、そこで私がぶつかったのが「この先あと何年、推しが現役で戦うのを応援できるのだろう?」という問題。
井上九段の40年のキャリアから見れば私のファン歴は僅か4年。
つまり先生の棋士人生のうちたった10分の1しか私は見ていない。
だからこそこれからも、もっと、もっと、もーーーーーーーっっとたくさんの先生の公式戦を応援したい!
ですが井上九段の年齢を考えるとどうしても【応援できる残りの時間】が気になってしまう。
そこで私は前期の順位戦が終わった今年の3月に、井上九段が公式戦をあと何局指す可能性があるか計算を試みたことがありました。

以下、算出方法
★今期の第81期順位戦スタート時に58歳の井上九段が【今期以降、毎年降級点を取り続ける】と仮定(そんなことはある訳ないですが、あくまでも最悪のケースを想定)
★その場合、今期第81期を含めあと7年公式戦を指す事が可能
★順位戦だけで年間10局は確定
★順位戦以外の棋戦は8大タイトル及び全棋士参加一般棋戦(若手棋戦除く)は朝日杯、銀河戦、NHK杯の3つあるので計11局
★一般棋戦を全て予選一回戦で敗退したとしたら年間で11局
★順位戦の10局と一般棋戦11局を合わせると年間21局
★井上九段の現役年数が最短7年とすると21局×7年=147局
★ゆえに最悪の場合、残り7年で現役生活が終了し、残りの公式戦は147局しかない
(制度の理解が上記の通りで合っているか非常に心許ないですが‥間違いがあればご指摘下さい)

ここで私は焦りました。
場合によってはあと7年間で現役終了しちゃうかもしれないの?残り147局しか先生の応援ができない可能性があるの?そんなの少な過ぎる!
もちろん井上九段の実力を考えれば毎年降級点を取り続けるなんて到底思えない。
順位戦以外の棋戦が全て一回戦敗退というのもあり得ないでしょう。
もし万が一、順位戦で降級点を取ったとしても、その降級点を消すことが可能なだけのお力がある強い先生です。
なので【残りの現役年数7年、公式戦147局】は超・超・超・超悲観的に想定した場合の数字に過ぎないはず。

そんなふうに井上九段の現役棋士としての残り時間について漠然と思いを巡らせていた今年の3月、私の心を更にざわめかせる出来事が起こります。

(2)へ続く→

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