冬が来たから
木枯らしが吹き木々が葉を落とす
終わりの季節には冷たい記憶だけが
万華鏡のようにフラッシュバックする
枯葉の一枚一枚が涙を拭うハンカチ
黄昏ているトタン屋根の家に置いてある箒みたい
寒々と外で待ちぼうけ
風が吹いている路上で
間違えて着てきた薄手のコートの襟を立てる
仕方なく一人街を彷徨った
枯葉が舞って地面に敷き詰められ
踏み潰して歩いた
罪悪感のある過去を
それから
ショッピングセンターで
赤いマフラーを買った
ぐるぐると首に巻いて
また雑踏の中に入っていく
紛れてしまおう
混ざり合って分からなくなってしまえばいい
そうすれば忘れられる
キラキラ星の降る夜になったら
ぐっすりと眠ろう
布団の中で暖かい夢を見て
茶色い犬を抱きしめよう
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