【オンラインスクール編】せっかくの規約を有効なものにするために
コロナ渦によりオンラインの需要が増し、オンラインスクールの規約について多くご相談をいただきます。
ご相談いただくお客様の中には、そもそも規約が無い状態で運営を始めてしまったり、規約はあるものの欠陥があったり、誤った使い方をしたため、トラブルとなってしまった…
という方もいらっしゃいます。
規約なしに運営を始めてトラブルになるのは致し方ないとして、せっかくの規約を有効なものとするには、どうしたらよいのでしょうか。
規約作成の専門家がわかりやすく解説します。
1.インターネット上の規約のひな形を使用して大丈夫か?
せっかく規約を用意しても、それが、よその事業者の使用している規約やインターネットで拾った汎用性のある(どこも似たような、誰にでも当てはまりそうな、当たり障りのない規定ばかりの)規約であった場合、それは、そもそもの目的である【リスクを未然に回避する】ことに役立つでしょうか?
顧客にサービスを提供するうえで、生じるであろうトラブルやリスクを未然に回避するため、そして、たとえ問題が起きたとしても自らの事業へのダメージを最小限に抑えられるように準備しておくのが「規約」です。
したがって、自らのサービスや事業形態にそった(生じるおそれのあるリスクやこれらに関する法律、そして何より事業者自身が重要視しているのはどのようなことか、などの)内容の規約でなければ、リスクが回避できないだけでなく、逆にその規約が原因でトラブルとなってしまいかねません。
また、たとえばスクール事業の場合の受講者側の視点で考えてみますと、誤字やつじつまの合わない内容の規約を確認させられたとき、「このスクール、、大丈夫かな?」と不安になったり、「このスクールは適当だからこのくらい大丈夫だろう」と軽視され著作権侵害などを起こされやすくなってしまう、など逆にリスクとなってしまうこともあるでしょう。
スクールの講座内容については他社と同じ内容にならないよう独自に用意するのですから、それと同じように、その受講に関する規約(ルール、決まりごと)についても、独自に用意する必要があります。
2.事前に同意いただく必要があります
オンラインスクール、オンラインレッスン、その他のオンランサービス、いずれも、規約を用意したらwebサイトなどに掲示されることが多いですが、掲示しておけばOKかといえば、そうではありません。
掲示するのも、受講やサービス利用の申込をする顧客が容易に確認できるような場所に掲示し、かつ、顧客が「確認し理解し同意した」という意思表示が明確にされなければいけません。
よくあるパターンとしては、申込フォームで、「規約に同意した上でこの申込をします」のチェック欄に☑してもらったうえで申し込んでいただくという方法です。
事業者としては、☑がされている場合のみ受講やサービス利用が可能です、という規約の内容にしておきます。
3.無効とならないために
事業者と顧客とで比較した場合、顧客の方が弱者であるため保護されなければならないという日本の法律(消費者契約法など)があり、規約の内容が一方的に事業者の有利なものであった場合、その規定が無効となることがあります。
たとえば、消費者契約法では、
「当社は、何があっても一切責任を負いません」
といったような、サービスを提供する事業者の責任を全部免除するような規定は無効と定められています。
事業者が顧客に損害を与えてしまった場合、免責されて当然であるようなこと(たとえば、事業者ではどうしようもできないこと〈戦争や暴動が起きたなど〉が原因でサービス提供が中止されたなど)は別として、その損害発生が明らかに事業者のせいであったのに、お客様だけが泣きを見るようなことはあってはならない、というわけです。
こうした消費者に不利過ぎる規定は、たとえお客様に同意を得ていたとしても、法律上、『効力を生じない』となってしまいます。
オンラインスクールにおいては、対面でなくオンライン上で講座を提供することになるため、特に認識のズレも生じやすい傾向があります。
あとあと、顧客から「こんなはずじゃなかった」と消費者センターに駆け込まれ、事業者が逆に泣きを見るようなことにならないよう、規約整備はしっかりと行っておく必要があるといえます。
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