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壱貫亨司詩作集め
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2022年1月の記事一覧

下北鉄道

恐山には風車 静かな水面を眺めては 廃止路線と無人駅 六文銭の一人旅 夢となるのが日常か 旅…

壱貫亨治
2年前
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優等生

大人に準じた成熟さ ホワイトソックス八センチ 母は猫背のゴミの上 父は名も無き顔も無し 傷を…

壱貫亨治
2年前
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ストーブ

消灯ストーブ部屋明かり 募る寒さに暖を取り 窓辺に佇む月明かり 部屋に招いて睦み合い 内緒…

壱貫亨治
2年前
56

ためらい

生きることは 旅すること よく言うよな ガイドもいなけりゃ 保険もない へこんだ夜には 誰もい…

壱貫亨治
2年前
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ウェンカムイ

人を襲って喰らうのは 悲劇と伝える常識に 異議を挟めば捕らえられ しこたま馳走に預かって 愛…

壱貫亨治
2年前
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埋葬

埋葬する しがみつきたい別離 うわついた心の立証 形式に根差す儀式として 意味深げに刷り込…

壱貫亨治
2年前
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アルバイト

開店準備のアルバイト 場末のしがない喫茶店 営業時間の看板を 無視する客のカランコロン 無愛想自慢のウェイター 無言で流し目やり過ごす わがまま恍けた見知り顔 毎度ホットのアメリカン ズズイとすすれば火をつけて くゆらす紫煙に反射する 数日振りの陽の光 眉間に皺寄せスポーツ紙 赤い小鼻と目頭を 指で摘んで文字を追う 心の声が口をつき 偉い政治家呼び捨てて こいつはタヌキだポンポコチン つられて相槌アルバイト 場末のしがない思想家に 孤独を重ねた洗い物