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壱貫亨司詩作集め
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2021年8月の記事一覧

サクラ

私はあなたを忘れない 記憶があなたを沈めても 私は変わらず下を向き あなたの行方に花咲かす …

壱貫亨治
2年前
63

さくらいろ

服装選びに困っても だいたい何時も同じ服 自分に自信もないもんで 内緒話の独り言 千切って繋…

壱貫亨治
2年前
68

雨だよ

ねえねえ 雨だよ ほら 濡れた土の匂いがする 草が跳ね返る音と 数拍おきに流れる トタンのシン…

壱貫亨治
2年前
62

降らない雨

今日は雨だと言っていた だから気分も雨だった 布団も干さずに畳んでた ささない傘もぶら下げ…

壱貫亨治
2年前
67

石を噛む

雨の降る日は軒先で 放ったらかしの石を噛む 今日は近場のお仲間も 横切る事は無いだろう 名前…

壱貫亨治
2年前
68

カモマイル

腰を屈めて花粉症 日向と日陰の綱引きに 若葉も思わず顔を出す 暇を啄ばむ草むしり 蟻の視点…

壱貫亨治
3年前
60

きれいだぜ。

くぐもった閉店アナウンスが、寂れたモールに響き始めると、ようやく風景も動き始める。 外はもう暗くなっているんだろうけど、そのくらいのことしか分からない、ここでは時間も景色も曖昧なんだ。 仕事の早い警備員は、無表情な動きでガラガラ指差し、シャッターを下ろして回る。 僕はイヤホンを耳に捻り込んで、ノイズと愛嬌が入り交じる女の声に耳を傾けながら、知らない顔を好き勝手に想像する。 外に出ると葉桜の並木道、とうに灯った街灯の下を歩きながら、ここでは誰も互いの顔も見やしない。 そりゃ

春は気まぐれ

過去は過去だと割り切って 思いつくまま振る舞って 欲しくなったら手を伸ばせ 要らなくなった…

壱貫亨治
3年前
76

横顔

照れ臭いから 横顔を眺めて 不公平な位に 気付かない程 見つめ合えず 眩しい太陽に 顔を背けた…

壱貫亨治
3年前
66

水筒

りんりんりりりん 朝もなかなか起きれずに りんりんりりりん でっかい時計の目覚ましが ぷん…

壱貫亨治
3年前
70

うたた寝

君の言葉を聞きながら 僕は言葉を手放した さっき見つけた答さえ すぐに違って見えるから 夜…

壱貫亨治
3年前
68

アネモネ

ごうごうと沸き立ちながら 春を呼んでいるような風が 夜の木立に割り込んで 姿を見せる事もな…

壱貫亨治
3年前
66

ヨヨヨヨヨ

頭がピリピリ 茶を一服 半径三十メートル 不在空間雨が降る 身を隠せ ヨヨヨヨヨ 身を隠せ ヨ…

壱貫亨治
3年前
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シーソー

うんとこしょ どっこいしょ うんとこしょ どっこいしょ おいらが引っ張るうんとこしょ おめえも引っ張るどっこいしょ おいらが転がるうんとこしょ おめえも転がるどっこいしょ おいらが先だぞうんとこしょ おめえも先だぞどっこいしょ おいらはまだまだうんとこしょ おめえもまだまだどっこいしょ おいらが勝ちだぞうんとこしょ おめえも勝ちだぞどっこいしょ うんとこしょ どっこいしょ うんとこしょ どっこいしょ