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壱貫亨司詩作集め
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2022年8月の記事一覧

あんどん

行灯の 油も残り 少ないわ 夜な夜な彼奴が 舐めるから 行商の 油売りでも 見かけたら 今日の残…

壱貫亨治
2年前
46

何かをしようと思って忘れたわ

目ヤニがついたまま 眼鏡もかけたまま ズボンの紐も結ばない Tシャツ破れた脇の下 犬の鼻筋撫…

壱貫亨治
2年前
51

弾かれた夜、追いかける僕

雨も降らないのに 樋からトトトトト 今日が峠みたいな 心電図のパルス音 さっき見かけた月は …

壱貫亨治
2年前
43

穴だらけ

へっちらほっちら 穴だらけ 気安く触るな 穴だらけ どうしたわけか スマートにやってきたはず…

壱貫亨治
2年前
37

一緒に寝ようよ

まだまだ夜は暑いから 毛布も布団も要らないや お前の仕草を見たいから 優しい電気は点けてお…

壱貫亨治
2年前
39

とんび

トンビの影に飛び乗って 山の斜面の上澄を こそげるように滑空し マムシの苺が咲く谷間 風が底…

壱貫亨治
2年前
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搬入口の警備員

一人で勤務の交代制 ぼちぼち平和な常日頃 お陰で業務もつつがなく 気の合う奴とは無駄話 夜勤は眠れずこたえるが 家にいるよりマシかもな 俺は気楽な独り者 大した望みも不相応 歳を食うのも慣れてきて 体が動けば何よりだ 寂しい気持ちも長引けば 麻痺して静かにしてやがる まぁまぁ時々目を覚まし ついつい酒も深くなる 疳の虫でもいやがるか そろそろ頭も壊れるか そんな無粋な毎日も 仕事があるならやり過ごす 出来れば死ぬまで働きてえ そういや春の入れ替わり あっさり消えた奴もいた 名

お疲れ様です

チラシを抱えて 駅前の信号機前 居酒屋の制服 まだ飲むには早い 午下りの曇天 スマホに向かっ…

壱貫亨治
2年前
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ネジマキ巻いて

もうすぐ動きが止まっちゃう 背中のネジマキあと何周 油も差さずに来たもんで どうにも足元覚…

壱貫亨治
2年前
41

待てない男

混み合っております どのくらい 次の次なので 半時間ほどになります そのくらい待つ 一時間…

壱貫亨治
2年前
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夜は光のシルエット

窓辺から 差し込む光は 部屋の中 象る姿に話しかけ 静けさばかりの相槌に あぁそうか 夜も更…

壱貫亨治
2年前
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仰向けごろりん

仰向けごろりん 眠らないけど寝転んで 両足ぷらりん 風を探して扇風機 瞼をぺたりん 夢の…

壱貫亨治
2年前
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打ち合わせ

こんこんこんこんこんにちは そちらの天気はどうですかい こちらはぼちぼち赤トンボ 急な約束…

壱貫亨治
2年前
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もうすぐのサヨナラ

僕は単なる馬鹿じゃない やがて訪れる事くらい分かるさ だからって慰めて欲しくもないし 分かった様に諭されるのなんて御免だよ ましてやそんな風に頼ったところで どうにかなるもんでもないからさ 甘えたくなったら甘えるから そん時は悪いけど両の目をつぶって 優しさのひとつまみくらいは ちょっぴりだけせがましてくれよな もうすぐのサヨナラにだって 僕は精一杯準備しているんだから