イシグロ キョウヘイ

アニメ監督のイシグロキョウヘイです。趣味用にエッセイ、小説、詩などを書く用のnoteで…

イシグロ キョウヘイ

アニメ監督のイシグロキョウヘイです。趣味用にエッセイ、小説、詩などを書く用のnoteです。 #アニメ #シナリオ #エッセイ #発想 #アイデア発想法 #創作論 #技術論

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  • イシグロキョウヘイ アニメ創作ノート

    イシグロがアニメ制作で得た知識や技術をもとに書いていくエッセイです。

最近の記事

テーマは『疑問文』で設定すべし

※カクヨムに掲載していたものの転載です 大学時代の友人に出版社で小説の編集をしているひとがいます。 サイコトのシナリオ制作中、彼には個人的にいろいろと助言をもらいました。助言といっても仕事としてではなく、飲み屋で酒を飲みながら、友人としてフランクかつ忌憚ない意見を言ってもらうという感じです。そこで出たアイデアは正直本編に反映されることはなかったのですが、この物語は面白いのかつまらないのかなど、客観的な意見を聞けたことは大きかったです。シナリオに限らず、いわゆる壁役がいるか

    • 小説とシナリオの違い

      ※カクヨムに掲載していたものの転載です 『サイダーのように言葉が湧き上がる』の小説版が映画公開に先立って発売されました。 小説版はイシグロが執筆しています。子育てに追われながら正月返上で書き上げたので思い入れもひとしおです。普段は絵や映像に直結する仕事が主なので、文字の仕事はいつも新鮮な気持ちで携われて、とても楽しいです。 アニメの制作方法は監督によって違いますが、イシグロの場合、第一歩はシナリオ制作から。ひとによってはイメージボードを先行させる監督もいるようですが、イ

      • 個性と作家性

        ※カクヨムに掲載していたものの転載です 自身初となるオリジナル作品『サイダーのように言葉が湧き上がる』が無事に完成しました。 が、新型コロナウィルスの影響もあって公開は延期に。まあこれはさすがに仕方ないことです。新たな公開日が決まるまでしばしお待ちを。 サイコトですが2月末には完成してまして、現在は次の作品に取りかかっている最中なのですが、幾分時間に余裕ができたので久しぶりにアニメ創作ノートを書こうと思います。 今回は『個性と作家性』。 サイコトはオリジナル作品なの

        • 偶然性の許容。そしてリアリティレベルのコントロール

          ※カクヨムに掲載していたものの転載です 日々アニメ作りに身を置く中で、アニメと実写の違いは何だろうか?と考えることがよくあります。 アニメと実写。両メディアの最大の違い。それは偶然性の許容にあります。このトピックは今年最大の話題作『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督との対談(キネマ旬報 2018年7月上旬号)でも語ったことなのですが、改めて、アニメ側の視点で掘り下げてみたいと思います。 アニメは基本的に人の手で描かれた絵が映像になっています。2D作品は筆記用具で、3D

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          発想の飛躍

          ※カクヨムに発表していたものの転載です イシグロの師匠は渡辺歩さんです。 2013年、『団地ともお』という作品で渡辺さんが監督、イシグロがディレクター(要は助監督)という立場で関わることになりました。渡辺さんはドラえもんで数多くの監督作品を残していますが、中でも『のび太の恐竜 2006』は出色の完成度で、劇場で観た時の衝撃は今も忘れません。ともおのオファーを頂いた時は原作の魅力もさることながら、「あの渡辺歩さんと仕事が出来る!」という巡り合わせに一番興奮したものです。