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ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌単離培養実験開始

 ワイルド白色腐朽菌の採集拡大培養はこれまで悉く失敗してきましたが、実は同様に培養を試みてきていたものの、やはり、一度たりとも成功に辿り着けていないのが、ワイルド・オオクワガタ幼虫の保有していた共生酵母の単離培養。

人工菌糸瓶飼育での共生酵母菌の移乗は何故に困難なのか?

 ワイルド・オオクワガタ幼虫の居る天然白色腐朽材の中に共生酵母が居るのは解っているんです。それは採集経験上、どの天然白色菌腐朽材から出たオオクワガタ幼虫の食痕でも同様の特徴を観察できるからで、また、その匂い(発酵臭)も独特だからです。
 しかしながら、採集幼虫を持ち帰って菌糸瓶飼育に移行すると、天然材時と同様の共生酵母の材中移乗が何故か上手くいかないのです。それは、天然白色菌腐朽材で観察できた状態とはまったく違う環境になるので判ります。幼虫の消化器官内に共生していた筈なのに……。この問題をわたしはどうしても解明したく、是が非でも天然採集での共生酵母の単離培養を成功させたい思いで、これまでなんとか独自に実験を試みてきたのですが、それが非常に難しかったのです。

3令になると居なくなる

 しかし、これまでの飼育経験により、採集したワイルド幼虫の場合、2令幼虫までの共生酵母の保有に関しては、その後の菌糸瓶飼育下でも共生保持をほぼ確認できています(その物的証拠はありませんが)。がしかし、その後に3令に加齢すると、何故かダメになる。これはですね、食痕の色で先ず判断できるのですが、あとは匂いでも解ります。ただし、そのすべてが死滅したかについても確証はありませんが、採集時の材中の状態には遥かに及ばない壊滅的な環境に変化してしまうので、ほぼそう判断して間違いないとわたしは思っています。
 では何故、幼虫が3令に加齢すると共生酵母をロストしてしまうのか? これは、培養実験からの実酵母使用による実験が未だできていないので、現時点ではあくまでわたし個人の観察に基づいた推察でしかないのですが、この要因的には菌糸瓶の餌材としての養分の組成の問題と、もう一つは物理的な問題が大きく関わってくるからだと思われます。これらが菌糸瓶飼育に於ける最大の欠点と言いますか、解消すべき最大の問題点だとわたしは考えています。とにかく、3令加齢以降、菌糸瓶で成長すると、殆どの共生酵母は居なくなってしまうんです(マット飼育は論外ですが)。
 しかし、わたしが確信的に推察しているこれらの要因の具体的な内容については今は未だ明かさないでおきます。その証拠を解り易くみなさんに提示する方法が今は思いつかないのと、これから、その検証のためのサンプル培養を成功させようとしているからです。

やはり失敗は必然

 しかし、やっとこれまでの実験失敗の原因が解った。いやあ、わたしにも通説バイアスが大きく掛かってたんだなあ、と痛感しました。その思い込み、刷り込みによって大きな考え違いをしていたことに気づいたからです。これまでのわたしのアプローチがまるで間違っていました。非常に単純な考え違いがこれまでの失敗の根本原因でした。しかし、これは失敗をしないと気づけないことでもあったと思います。だから、何でも自分で試してみないといけない。でなければ、失敗さえ経験できないからです。前進するにはやはり失敗は必然なのです。
 幸い、わたしには今、ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌が生きたまま存在している筈の採集サンプルが手元に在るんですよ。これを有効使用しないわけにはいかない。

2024年4月15日- ワイルド・オオクワガタ共生酵母培養実験開始

 そして、問題は培養の手法です。これについての認識がわたしの場合、決定的に甘かったのです、これまでは。アホでした。いやあ、なるほど、そういうことだったか、と。アプローチの方向性がまるで違っていたのです。これを上手く喩える常套句が思いつかないのですが、とにかく、もしもこれで失敗したら、もう諦めがつくと言いますか、それくらい今回は成功を確信しています。ですから、たぶん上手くいくと思います。そして、その後に生産の目処が立てば、そのときは販売しましょうかね。ふふふ。

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