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僕が身長にこだわる理由

吉本興業所属芸歴4年目のかざみどりのきょうへいと申します。
このnoteを通して僕と言う人間を少しでも多くの方に知って頂けたらなと思います。

今日お話しする事は、僕が何故身長にこだわるのか。

僕の身長は150cm。
極めて背の低い成人男性。
そりゃそんな特徴あるならこだわるでしょ。
皆さんはそう思うと思います。
でも僕には、もっとちゃんとしたこだわりがあります。

生まれた時は2250g。


余裕の未熟児。


お母さんいわく、座布団斜めにして寝かしたらちょうど良かったらしい。


幼稚園から高校まで。背の順で1番前を譲った事はない。スタートから遅れていたのだ。

まじで僕より小さい人はあんまり見た事ない。


僕の身長は、江戸幕府の三代将軍徳川家の平均身長くらいらしい。


これはお客さんが教えてくれました。


僕の住んでた町には年に一回町内で相撲大会と言うガチガチのガチンコ相撲をする大会がある。

小学2年の時は、僕の校区から出場する人数に限りがあり誰が出るかを決めなくてはいけなかった。

僕は今でも覚えている。


残りの枠はあと1席しかなかった。

僕ともう1人の古賀君という子でその座を争った。

古賀君はめちゃくちゃ大人しくて僕は古賀君に対していつもいじってたりしてた。

周りのみんなももちろん僕だけを応援していた。

きょうへいコールが鳴り止まない。

ただ結果は僕が古賀君にまわしを外されすっぽんぽんになった所を投げ飛ばされて負けてしまった。

死ぬほど恥ずかしかった。絶対勝てると思っていたし、何より好きな女の子の前ですっぽんぽんになった事。

ちっちゃい奴の中からちっちゃいやつが出てきて、そりゃぁ笑われた。


悔し過ぎてその場で泣いてしまった。

悔しい悔しい悔しい。

絶対勝てたのにって。

でもよくよく考えると20cmくらい身長差がある子に勝てる訳がない。

人気と勢いだけで成り上がっただけで相撲にはなんの関係もなかった。

でもあの時の僕は小さいだけで勝てないなんて悔し過ぎるってずっと思ってた。

チビでもやれる事はあると。

チビはチビなりに考えて戦うしかないんだと。

お母さんは悔しがる俺を見ていたのか、小学6年の時に相撲大会で勝てたら自転車買ってあげるって言ってくれた。

それはもうめちゃくちゃ頑張った。


僕の相手は、よっちゃんと言う子だった。

よっちゃんはガタイも良く下馬評通りいけば余裕のよっちゃんでよっちゃんの勝ちだ。

でも絶対に負けたくなかった。

僕は自転車が欲しかった。

ここで負けたら終わりだと思って臨みなんとか勝てたのだ。

僕は嬉しくて仕方なかった。

お母さんの所にすぐ行って勝ったから自転車買ってって言った。

マウンテンバイクのちょっとおしゃれな奴を買ってもらった。

嬉しかった。

チビでも勝てるんだ!ってそこで思えた。

チャリは1週間後にハイパーマートというスーパーで盗まれたが。


チビでもやれると言う事を小学6年にして実感出来たのを覚えている。


ただこのチビと言う事を気にしているのはどうやら僕だけでは無かった様だ。


僕の父親は173cm。


母親は僕より小さい。


そう。お母さんがいつも僕のこの身長を気にかけていてくれてる様に思えた。


小学6年の時、僕はバスケットボールをしていて当時エナメルバックがえらく流行り出していた。

みんなエナメルバック持ってた。


俺もエナメルバック欲しくて、お母さんにおねだりして一緒にスポーツデポに行った!


エナメルバックを色々見て回るがどうも僕の身長には全部でかい。

好きな色、形、メーカー、もちろん僕にはあったけど全部デカ過ぎてバックが一人歩きしている様だったので、慎重に慎重に選んだ。

そこでようやく自分のサイズに合ったエナメルバックと出会えたのだ。

嬉しかったなー。

自分のサイズに合ったアシックスの銀のエナメルバック。

速攻これがいい!って言って、お母さんもきょうへいにはそれが合ってるね!と言ってくれた。

家に帰り、お母さんが僕に一言。


「football」って書いてあるけど、サイズ合ってるしそれで良かったんだよね?と。





は?「football」?俺は「basketball」してんだよ。

僕は小学6年だったのでその文字には気付けなかった。

めちゃくちゃ泣いた。

嫌だ嫌だ!なんで俺バスケしてんのにサッカーのカバン持ってるんだよ!なんで教えてくれなかったんだよ!って。


お母さんは、きょうへいにはそのサイズが合ってたからと。

こんなの要るかよ!とその辺に投げつけた。

今思い返すと、なんて酷い事したんだろうって思う。

お母さんは僕の事を考えて一緒に選んで買ってくれたのにって。


お母さんは僕のサイズに合うのはこれしか無かったから少し高いけど買ってくれたのにって。

こんな話をあげるとキリが無いのだが、いつもお母さんは俺のこの身長が低い事を気にかけていた。

本人から直接言われた事は無いのだが、僕にはそう思えてしまう。


極めつけのエピソードがあるのだが、それは成人式の時の事だ。

僕は成人式は袴にしようかスーツにしようか悩んでいた。

でもまだスーツを1着も持っていなかった為、今後の事も考えスーツにしようと思っていた。

お母さんにその旨を伝えるとじゃぁ今週末一緒に見に行って見ようと言ってくれた。

お父さんとお母さんと3人で洋服の青山に行った。


スーツの1番小さいのを試着したがどうも全部でかい。肩、袖、裾、全部でかい。


お父さんは、そんなに大きく無いよ!気にならないよ!と言った。

そりゃお父さんは背が高いから気にならないかもしれないけど、俺からしたら気になるんだよね。って思った。

そしたらお母さんがじゃぁ違う店舗も行ってみようか!って言ってくれた。

多分3店舗くらい回って、どこにもサイズは無かった。


お父さんは呆れた顔をしてたし、ちょっと不機嫌だった。

俺ももうそんな顔されたら嫌だし、なんでもいいや。って気持ちになっていた。

そしたらお母さんが店員さん呼んできて、きょうへい!これオーダーメイドだったら小さく出来るんだって!ってニコニコしながらこっちにきた。

お母さんだけ俺のサイズに合うスーツを諦めて無かった。

しかもオーダーメイドをするには、普通のスーツの何倍もする値段だった。

お母さんはいいよ!いいよ!そっちのがきょうへいもいいでしょ?って。

二十歳ながらに泣きそうになった。

お母さんここまでしてくれるんだって。

小さく産んだ事少し後悔してるのかな?って。

多分そっから僕はチビを売りにして仕事をしたいと思うようになった。

小さい人しか出来ない事でご飯が食べたいって。

お母さんは小さく産んでしまってごめんね。って思ってるかもしれないけど、俺は小さいからこそこんな事が出来たよ!

小さく産んでくれてありがとう。ってそう言いたいと思った。


小さい人しか出来ない事でご飯を食べていく。

それが芸人と言う世界がイコールでは無いかもしれない。

でも、人と違う容姿をしていて、それがまた面白おかしく出来るから僕は芸人でご飯を食べていきたい。

芸人として舞台に立ってる時が唯一僕は小さくて良かったと思える。

普段は小さくて良い事なんて一つもない。 

でもこの小ささのお陰でご飯が食べれてる、成功した。

お母さん!小さく産んでくれてありがとう。その領域までいきたい。


だから冒頭でも言った通り、俺は身長にこだわっていきたいと思っている。


これは俺の武器だから。


お母さんがくれた最高の武器だから。


いつの日かテレビに出て、活躍して、お母さんを安心させたいと思います。


お母さん見ててくれよなー!!!



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かざみどり きょうへい

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