J2視覚化計画2023〈第29節〉
今回は夏休み特別企画。毎回登場いただいている5人のアナリストの皆さんにお集まりいただき、残り1/3となったJ2の行方について対談していただきました。メインテーマは「どうなる昇格ライン/残留ライン」です。
《対談者》
◎丹生賀 育太郎(にぶが・そだてたろう)
◎富嶺 織布音(ぷれい・おふね)
◎慈永津 眞経(じえいつ・まきょう)
◎荘家久 まどか(しょうかく・まどか)
◎下輪 毅(したわ・こわし)
∞自動昇格ラインを探る
管理人:まず皆さんには昇格ラインの方をご議論いただきたいのですが?
丹生賀:いわゆる自動昇格ペースの試合数×2(=今節で58、42節で84)を越えているのは町田だけになっている。
荘家久:自動昇格ライン…つまり2位が最終的にどれくらいの勝点になるかですね?現状単純計算ならば78あたりなので随分低く出ます。
下輪:今は昔、二千十八年のこと。首位が七十七(松本)、二位~四位が七十六(大分・横浜FC・町田)という昇格線が七十六なる年ありし。
富嶺:町田が1位で突っ走るか、2位以下に吸収されるかよって変わりますわね。もし町田が吸収される展開になれば、2018年同様に1位が80を下回る可能性もございますわ。
丹生賀:町田は多少勢いは落ちた気もするが、大崩れはないだろう。7節を1クールとすれば、前節まで[19→11→16→14]というペース。未消化分の秋田戦を取れば最後の数字17になる。残り2クール、どれだけ悪くても勝点80を割ることはないのではないか?
慈永津:でもJ2は魔境よ~?
荘家久:現在3位との差が11で残り試合13(町田は14)ですから、まだ安泰とはいえませんが、あまり失速する要素も見当たりませんね。
下輪:しかれども、二位の争乱は混戦なり。
丹生賀:磐田が6月から10戦負けなしで、今節も快勝して11戦負けなしだ。メンバーを上手く入れ替えながら勝負強く夏場を乗り切っている。
富嶺:ターンオーバーを上手く使っているのは、2021年の甲府、2022年の新潟のようですわ。補強禁止という枷(かせ)によって、全体の底上げするチームになりました。お見事ね。
下輪:次節はその町田軍と磐田軍の直接対決なり。
丹生賀:次節の1位vs2位対決の結果次第で、自動昇格の行方はある程度見えてくるのではないか。
慈永津:磐田っちの問題は補強禁止だよなー。他がバンバン補強して勢いにノッてくるかもしんねーし。
荘家久:夏の補強が好感触なのは東京Vですね。染野唯月が終盤にかけて点を取るようになれば…。昨季はラストに6連勝しています。今節は清水に競り負け、4位に後退してしまいましたが。
富嶺:その清水は欧州から原輝綺と鈴木唯人が復帰。一方でディサロ燦シルヴァーノが湘南へ移籍するなど、戦力補強というより戦力整理という印象ですわね。
丹生賀:清水の戦力が他より頭ひとつ抜けているのは間違いない。秋葉監督は「戦術・乾」とうそぶいていたが、球際への寄せを厳しく来られる“清水対策”を受けた時、個の能力以外でどう対抗するか。
下輪:甲府軍は長崎軍よりくりすてぃあーの殿を獲得。しかれども主将・須貝殿が鹿島軍に調略されてしまった。
荘家久:須貝選手は痛いですね。実際、移籍劇後から少し調子が狂ってしまったように見受けられます。
慈永津:長崎はクリスティアーノ出したけどまたブラジル人の噂もあったりするよねー。
丹生賀:長崎は近年夏に外国人を入れ替え、フィットした頃にシーズンが終わりがちだ。今の長崎は大勝したり大敗したり安定感はないが、ともかくもフアンマで点は取れる。問題はフアンマのイエローカード累積だ。
富嶺:一時は2位争いをしていた大分は、怪我人も多く状態は良くないですわね。ここまで大きな補強もございませんわ。
荘家久:けれど上位勢の中で昇格実績のある監督は大分の下平監督だけなんですよね。
慈永津:話を総合すっと、2位界隈は磐田・清水の静岡勢&ヴェルディの争いに、長崎がフアンマちゃん出続けられれば追い込めるってコト?甲府と大分はちょい厳しめ?
丹生賀:だいたいそんな感じだ。もうひとつ下は群馬だが、自動昇格争いは少し厳しい。エース長倉も新潟に個人昇格してしまった。ただ、プレーオフならば可能性はある。
下輪:自動昇格線は、ずばり七十八にて候!
慈永津:え?いきなり?
丹生賀:現状2位の磐田が残りを《試合数×2》のペースで積み上げたとして80。ここが基準となる。勝点80を他のチームが超えられるかどうか。中~下位が例年以上にしぶとい点を考慮すれば、自動昇格ラインは78~79に落ちるかもしれない。
慈永津:オレは80超えてくるチームが出ると思うね。81だ!
∮プレーオフ進出ラインは?
管理人:プレーオフ争いはどのあたりまででしょうか?
富嶺:群馬の大槻監督の手腕がお見事で、もしプレーオフまで持っていけたら大事件ですわね。
荘家久:今季からプレーオフ経由が必ず1チーム昇格できますので、今までよりも6位を目指すモチベーションは上がりますね。
下輪:二千十八年は首位も六位も、勝点七十点代でござるか。
丹生賀:混戦になれば6位の方の勝点は上がる傾向はある。今季も6位が70は超えるのではないか。少なくとも去年の64ほど下がらないと思う。
富嶺:そうなると山形、千葉、岡山あたりは相当ハイペースで追い込まなければ届きませんわね。
丹生賀:山形は夏の補強が効果的でハマれば強い。同じく夏補強でドゥドゥを獲った千葉はかなり面白いチームになっている。岡山は今節町田に勝てていれば…。藤枝と秋田はこの順位にいること自体が大健闘だ。
慈永津:プレーオフ争いはとりあえずは大分までで、その下から残り13試合で勝点30以上積むトコが出てくればって感じか。ま、上位から脱落&失速組が2チーム以上出てくれば6位ラインは下がるな。
㊦残留ラインのハイライン化?
管理人:残留ラインはどう考えますか?
丹生賀:山口といわきが監督交代を機に持ち直したことで、例年になく残留争いに絡むチームが多い。少なく見積もっても9チームくらいはいるのではないか。
富嶺:定説では試合数×1=42が残留ラインといわれていますが、前節の段階で21位金沢と20位徳島が試合数×1だったんですよね…。
下輪:職業蹴球三部はひとたび落つればなかなか帰還叶わぬ魔界なり。下は怖し。
荘家久:どのチーム必死ですよね。仙台などは齋藤学、長澤和輝というビッグネームを補強。夏の補強も手を尽くしています。
慈永津:仙台ハンパねぇ。ギリギリになって宿題に手を付ける小学生かよ。最初からやっとけよ。
丹生賀:レアンドロペレイラやイスマイラを加えた栃木や、加藤大樹や山本義道が復帰した金沢も補強は積極的に動いている。それ以上に本腰を入れているのが最下位大宮だ。特にシュヴィルツォクはJ2では反則級の大物だ。
慈永津:いやいや大宮は渋谷コーチの加入が大きいって。人を活かすのも人だからな。
富嶺:水戸は6月に永長が加入しましたが、徳島はまだ動いておりませんわね。今節は千葉に土壇場で追い付かれてドロー。崖っぷちに立たされてしまいましたわ。
丹生賀:いずれにしろ21位が勝点42まで到達する可能性は十分にあると見る。
慈永津:残留ライン=20位ってことなら、最終的に44くらいまで行くんじゃね?下からガンガン突き上げて、ハイライン・ハイプレス。
荘家久:終盤はドローも多くなると思いますので、42あれば残れる気がします。
下輪:今調子が良き軍勢も、今後十節以上も調子が続くとは思えぬ。終盤は泥沼化して、三十九と予想するが如何。
管理人:結局何だか話がまとまりませんでしたが、皆さまありがとうございました。