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J2視覚化計画2023〈第11節〉

#J2視覚化計画2023

◎今節のアナリスト◎富嶺 織布音

みなさま、ごきげんよう。
J2は既に2チームで監督交代がありましたわ。清水エスパルス(ゼ・リカルドさん→秋葉忠宏さん)モンテディオ山形(クラモフスキーさん→渡邉晋さん)です。
清水△△△△△●●→○△○※前節まで
山形○○●●●●●→●●●※前節まで
と、明暗が分かれておりますわね。ともにコーチからの昇格人事ですが、山形の方は監督交代後も志向するサッカーが似ていたため、明確な変化が打ち出しきれなかったのかもしれません。運にも恵まれておりませんでしたわね。

一方清水の方は、監督交代でやっているサッカーもチームの雰囲気もがらりと変わりましたわね。元々ボールは支配しても、ハードワークして球際に寄せてくる相手、素早いカウンターを受けるのを苦手にしておりましたが、秋葉監督になってからは、自分たちが球際に激しく寄せ、奪ってから保持にこだわらずカウンターを繰り出すようになりました。
清水はルヴァンカップを含めて過密日程(9連戦)の途中での監督交代でした。準備する時間もない中、秋葉監督が「自分たちはこうしたい」という強いメッセージを出したのがとても効果的でしたわね。監督交代後最初のリーグ・8節東京V戦は、終了間際の劇的勝利でしたが、実はあの決勝ゴールはオフサイドを取られても仕方なかったとお聞きしました。秋葉監督はそういう運も持っていらっしゃいますのね。
急に運動量が強調されるようになったため、後半に活動量が落ちる点は少々気になります。でもそこはリザーブも質が高い選手層。競争を煽る秋葉監督の姿勢との相乗効果で、途中から出る選手たちがしっかり走れるのならば、強度は保てそう…かしら(今のところは)。
前節、連戦の中で大きくメンバーを代えてレノファ山口に6-0と大勝。水曜のルヴァンカップでは0-6と大敗しましたが、今節は大宮アルディージャ相手に実力を見せつけるように3-0の快勝。連戦の中で良いパフォーマンスをした選手が素直に使われるので、引き続き高い士気を保てているようにお見受けしました。清水はこのままV字回復してくるのでしょうか?

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと申します。過去J2で成績不振によるシーズン途中の監督交代から自動昇格まで辿り着いた例は、2019シーズンの横浜FC(タヴァレスさん→下平隆宏さん)だけかと思います。この時は…

13節まで(タヴァレス)13試合 勝点15(4勝3分6敗/13得点・15失点→-2)【14位】
 ↓
14節から(下平 隆宏)29試合 勝点64(19勝7分3敗/53得点・25失点→+28)

1試合あたりの勝点に換算すると1.07→2.21という激変ぶりでした。実はこの時の横浜FC、監督交代後5試合は○●○△●と「良化」程度の成績でしたの。ところが6試合目の第19節から途中7連勝などを挟みながら第36節まで18試合無敗を継続。第37節こそ京都サンガF.C.に完敗しましたが、そのあと最終節まで5連勝してオルンガ様を擁する柏レイソルに次ぐ2位昇格を果たしました。J2の歴史ですわね。

当時の横浜FCに比べれば、今の清水の方が自動昇格圏との勝点差は小さいですし、試合数も多く残っています。十分巻き返せますし、そのうち昇格争いに絡んでくるのではないかしら。ポイントは、「負けない期間」を長くすることですわね。
間違いなく選手の質が高い秋葉エスパルス。今は「気持ち」を最優にメンタルを前向きにさせて、割とシンプルなサッカーに振り切ったのが吉と出ていますが、そのうち「対策」されることにもなるでしょう。その際、秋葉監督がどんな言葉で鼓舞するのか、心を動かすような監督インタビューが出るのかどうか、楽しみですわね。

一方、苦しんでいた山形も今節、渡邉監督に交代後の初勝利を挙げました。リードを守りきった形でしたが、スマートな戦術家として名を馳せた渡邉監督のチームとは思えないほどに泥臭いサッカーに徹していたのが印象的です。やはり大切なのは、勝ちたいという執念ですわね。実力を持っていたたずなのに不調だったチームの巻き返しが、J2を面白くします。ではごきげんよう。

富嶺 織布音(ぷれい・おふね)
1983年福井県生まれ。マスコットを入口にJリーグに興味を抱き、いつのまにやらJ2箱推し。好きな卵料理はプレーンオムレツ。座右の銘は「プレーオフは豪華なおまけ」。

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