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J2視覚化計画2023〈第32節〉

#J2視覚化計画2023

◎今節のアナリスト◎丹生賀 育太郎

いよいよJ2も終盤に入り、リーグ戦はあと10節。残るは9月、10月、11月の2ヶ月半となった。その後プレーオフが入るが、レギュラーシーズンはJ1とJ3よりも3週間早く終わるのだ。
今季は残留をめぐる争いが混戦を極め、最後までもつれそうな予感が漂う。一方で昇格争いの方は、いよいよ大詰め感が漂ってきた。今節は町田と長崎以外の上位陣が軒並み足踏みという波乱含みだったが、残り10試合はラストスパートの仕掛け合いとなるだろう。これに付いていけない順に脱落していく。昇格争いはサバイバルレースだ。

忘れてはならないのが、サッカーは相手のいるスポーツだということ。ここから先は具体的に対戦相手の顔ぶれを見ながらあれやこれやと思い巡らせるだけで楽しめるマニアも多いはず。昇格を狙う上位勢(11位千葉までの上半分)の今後の対戦相手は、以下のようになっている。

「昇」は昇格争い11チーム。「残」は残留争い11チーム。
※群馬の延期試合は日程未定

■下位との対戦が多い町田
首位を独走する町田は、上位陣との対戦が少なく、残留争い勢との対戦が多い。ただし9月は苦手とする北関東勢との対戦が続き、しかもアウェイが3試合。藤尾やデュークらが代表に選ばれると不在になる可能性もある。町田にとっては9月が最後の正念場だろう。10月後半から最終節までの相手は「崖っぷち」で死に物狂いになっているかもしれない。エース・エリキを大怪我で失ったが、現在のリードを保ったまま9月を乗り切れるかどうかで趨勢は決まる。

■10月にビッグマッチ!静岡勢の昇格直接対決
2位を争う“静岡勢”。磐田と清水は、直接対決が10月の第2週【38節】に組まれている。ここに至るまでの5節で順位や勝点差がどう変動するか?それぞれ難敵も待ち受けるが、特に【34節】清水vs山形は注目必至。静岡ダービーの大一番次第で行方は変わるが、磐田は【40節】に東京V戦との直接対決もある。11月の2試合は両者ともに残留争い勢だが、下がもつれていると窮鼠猫を噛む警報が発令される。

■厳しい日程の東京V
東京Vは10月に上位勢との対戦が待ち受けており、単純にキツい。逆にいえばノックアウト方式のように直接対決で叩いていけばおのずと順位は自動昇格圏に近づくはずだが…。まずはアウェイ苦手癖が治らないとそこまでも辿りつけなくなる。特に次節のA金沢は降格圏脱出に必死になってくる相手だ。

■日程関係なく読みづらい長崎
長崎は残り10試合のうち最初の5試合が上位勢+曲者・秋田となかなかハード。ただ長崎の場合、相手に関係なく自分たちの調子の波が大きため正直読みずらい。最後の4試合の相手はその時に昇降格に絡んでいない可能性もあり、これまた読みづらい。

■ホームが少ない大分
大分はホーム開催が4試合しか残っていない。特にアウェイが多い9月が正念場だろう。次節→次次節とプレーオフを争うライバルに勝点を渡さないことも重要になる。上位3チームとの対戦は済んでいるものの、地味に楽な相手がいない日程だ。

■山形はホームアドバンテージあり?
逆に山形はホーム開催を6試合残す。アウェイも秋田といわきは東北地方で、西日本への遠距離遠征は終わっているのもアドバンテージか。カギは何といっても数少ないアウェイの【34節】清水戦。ここに今季最高の状態で臨んでビッグウェーブに乗れば、躍進も見えてくるが、さて。

■快挙を目指す群馬
2週連続で荒天中止の憂き目に遭う群馬。この段階で延期日程が2つあるのは単純にハンデ。今季の群馬はどんな相手にも好勝負が挑めるタイプで、次節の町田戦は大槻監督渾身の一戦になるだろう。過密日程を乗り越えてプレーオフに進出できれば快挙だが、10月以降は難敵続き。特にラスト3戦の元J1組が門番だ。

■上位との対戦を残す甲府
ACLも並行して戦う甲府は、1位町田や3位清水をはじめ上位陣との対決を多く残す。残留争い勢も決死の覚悟を決めてくるチームだらけで、相当厳しい顔合わせが続く。コンディション調整が難しくなる中、目標のマネジメント能力が問われる。

■追い込みをかける岡山&千葉
ここにきて6位と4差まで追い込んできたのが岡山と千葉。岡山は下位との対戦が多いが、【36節】磐田戦が最大のヤマ。ホームを6試合残す千葉は、9月に組まれた下位との4戦で一気に連勝を伸ばしたいところ。【37節】の岡山vs千葉が“昇り馬同士のサバイバルマッチ”になれば盛り上がる。

丹生賀 育太郎(にぶが・そだてたろう)
1979年和歌山県生まれ。気まぐれ文筆家。大学時代は朝ドラ社会学を専攻。座右の銘は「J2でしか見えぬものがある。J2でしか育たぬ者がいる」


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