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述懐せよ

巨大な迷路の中で彷徨い続けるように
都市は広大で複雑怪奇
膨大な数の情報に洗い流されては
感情が次々と淘汰されていく

コンパスの針は揺れ続けている
行くあてのない旅ではあるけれど
それでも闇雲に進むのは怖いから
何かを信じなくては歩いてはいけない
それは人としての性であると
それすら信じなくては、歩いてはいけない

次の電車が来る頃には
昨日食べた夕食すら思い出せなくなってしまうのか
墓標が建つ丘の上に並ぶ殉教者
使役とは幸福であると彼らは口々に言うだろう

7日目の夜に僕は考えるのをやめた
だって、あの海が割れたから

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