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いつか来たことのあるような
全く見知らぬような
古い大きな神社
子どもたちとかつて子どもだった人たちと
楽しそうに
けれど何か憂いた目で歩いている

金魚すくい
薄紫のおはじきとビー玉
香ばしいソースの香りが
昼とも夕べとも言えぬ時間を包んでいる

狐のお面を被った少年は実在したのか?
ヨーヨーをぶら下げた親子は幻か?
渡せなかったプールのチケットは
花火の後の火薬の匂いは
まるで全てが妖の戯れのように朧になり
何も思い出せないまま
射的の景品のように遠くを眺める

ぐっと手を引く少女
ここは古い大きな神社
提灯が灰色の空に揺れている
たわむ屋台の屋根の上
思い出せないけれどいつか
きっといつか居たところ
えにしのふち よすがのゆかり

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