彼方
今日を終えて眠る少年の隣には
今まさに命を終える老人がいた
飽食に欠伸をする下卑た男の隣には
飢えて散漫な目をした少女がいた
退屈しのぎに蟻を潰す子どもの隣には
また已む無く1人の命を奪う兵士がいた
遠くのものはあまりにも遠すぎて
まるで地図の端々のように
隣り合い知らん顔をしている
ごらん
暑い雲の彼方には夕焼けが
その手前に雨を降らせ
空の上は晴れているように
ひとつ過ぎれば他人ではいられない
なんてこと
気づかないふりをして眠る
彼方
あなたの行く末
那由多
数多の一途へ
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