紫煙
空に煙を飛ばしたら
間延びした生活も散り散りになって
霧のように晴れていくだろうか
溜息や猫背
紫色の彼方に
かつて思い描いた大人が背を向けている
霊安室に繋がる長い廊下
もしくは大部屋での笑い声
等しくここには存在している
生まれた赤子に幸福を願って
非常階段でこっそりと
タバコに火をつけた
明日、強い風が吹いたら
背伸びした彼らの思いが乗った飛行船が
白亜の大地を目指すんだろうか
引き金と撃鉄
紫色の彼方に
かつて探していた理想が微笑んでいる
1013号室
ナースコールを握ったまま
僕達はゆっくりと眠りについた
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