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ぼくのトレーニング理論Ⅱ

はじめに…
 私が以前投稿した「ぼくのトレーニング理論」[1]について。元々学内の陸上部員向けに作ったブログであったにもかかわらず、私の想像を超える方に読んでいただきました。中には研究者の方や、陸上競技の雑誌でしかお見かけしないような方からもフィードバックや前向きな言葉をいただきました。感謝申し上げます。今後もよりわかりやすく自らが感じたことをお伝えできるよう努めていきます。どうぞよろしくおねがいします。

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さて、トレーニング理論に入る前に、
私のここ2年の競技生活について振り返ってみます。

今振り返ってみると、大学4年のシーズンは完全に失敗のシーズンでした。

 「フーリエ級数展開メソッド」[1](英訳するとFourier Series Expansion Method、今後は頭文字をとってFSEMと記します)を信じて練習に取り組んだ結果、2018年5月ごろまでは順調に記録が伸びました。ところがそれ以降、記録がまったく伸びなくなりました。きちんと1週間のサイクルは守っている、栄養その他特にそれまでと変わったことはない、それなのに記録は伸びない…。結局記録が伸びない理由がわからないまま、夏以降も調子が上がることはなく、そのまま”引退”を迎えてしまうこととなりました。

 2019年シーズンも競技をやめるつもりはありませんでしたが、大学から大学院へと環境が変わることに伴い、競技そのものに割く時間は少なくなりました。平日の1日の練習は30分~1時間程度で、急な研究のスケジュール変更に対応できるよう走れるときに走って練習頻度をなんとか保つようにしてきました。そのような状況の中、その秋のシーズンではここ2年で最も良い状態で試合に臨めました。満足とは言えないですが、走幅跳では前年の数字を超え、2020年に希望が持てるシーズンであったと思っています。

 この振り返りを昨年の最後の試合(東大競技会)後に行った時、私は違和感を覚えました。なぜなら私が作った従来の理論では、秋の試合で状態が良くなる説明ができなかったからです。あの理論はただの絵に描いた餅だったのか。どことなくもどかしさを抱えながら過ごしていた矢先、たまたま開いた後輩のブログ[2]にこんな文章が書いてありました。

1つ上の先輩方を見ていてなんとなく感じたのは、陸上は個人競技なんだからまずは個人がしっかり努力するべきでチームの雰囲気とかはあんまり関係ないと考えている人と部活としてやってる以上組織として強くなるべきだし、組織が個人の競技力対して積極的に寄与していくべきだと考えている人の隔たりがあるなということです。(中略)僕はこれらはある種イデオロギー的なもの、大学で陸上をするということに対してどのレンズを通してみるかという問題であってどちらが絶対的に正しいとも思いません。ある見方をすれば前者が正しいかもしれないし、別の見方をすれば後者が正しいかもしれません。

大学院で量子力学を扱っているからでしょうか。
私はこの文章を読んだとき、この後輩の文章が「ハイゼンベルクの不確定性原理」の説明[3]と妙に似ていることに気が付きました。

ハイゼンベルクの不確定性原理                    ミクロな領域では粒子の位置と運動量は正確には決められず、一方の測定誤差を極めて小さくすれば他方の誤差が極めて増すことになり、結局誤差の積を一定以下には下げることが出来ない。


そしてその時ひらめいたのです。
2018年に調子が狂った理由も、2019年に調子が戻った理由も、
従来の理論が間違っていた理由も、すべて量子力学のアナロジーで説明できるのではないか、と。

これ以降、量子力学のアナロジーによってFSEMの続きを説明していきます。

量子力学は、Wikipediaによると以下のように説明されています[4]。

量子力学(りょうしりきがく、(英: quantum mechanics)は、(中略)主として分子や原子、あるいはそれを構成する電子など、微視的な物理現象を記述する力学である。

ここで一つ疑問が生じます。それは
「微視的な物理現象を記述する学問に電子よりもはるかにスケールが大きい私(人間)を当てはめるのはいくらなんでも無理筋だろう」
ということです。
色々試行錯誤した結果私は以下のように考えれば辻褄が合うことに気が付きました。

宇宙全体を巨大な一つの系として考える。  

多少無理があるとは思いますが、この前提を受け入れれば、私という人間が持つ、「粒子」と「波動」の二重性についての説明ができます。
言い換えれば、「私は、宇宙全体から見れば粒であり、波でもある」ということです。

私は、宇宙全体から見れば粒であり、波でもある

粒子性については、否定できる材料はなさそうです。宇宙の遥かかなたから私を観測すれば、私がごくごく小さな粒のように見えるのは間違いないでしょう。一方で波動性については議論の余地がありそうです。そこで私は私自身が持つ波の性質について考察してみることにしました。
ここ2年の競技生活を再度振り返ってみると、周期の異なる3つの波が存在していることに気付きました。

①周期が1週間程度の波
FSEMでも出てきた波です。「疲労」→「回復」の波と考えて良いでしょう。
この周期1週間の波をWeekの頭文字WをとってW波と定義します。

W波:周期1週間程度 「疲労」→「回復」の波

②2~3ヵ月の周期の波
新しい刺激を取り込み、「慣れ」るまでの周期を持った波です。新しい技術を習得して「自動化」させる波ととらえても良いかもしれません。
私の場合だと、FSEMを使って記録が伸びていた、2017年11月~2018年5月の6か月(2,3周期分)がこれに相当します。
この周期2~3ヵ月の波をMonthの頭文字MをとってM波と定義します。

M波:周期2~3か月程度 「慣れ」「自動化」の波

③2~3年周期の波
脳や身体がそれまでの環境にすっかり慣れ、ついに「飽き」てしまうまでの周期を持つ波です。この周期2~3年の波をYearの頭文字YをとってY波と定義します。

Y波:周期2~3年程度 「飽き」の波


そして、私の直近の成長サイクルは以下のグラフのような3つの波を足し合わせたの合成波で表せると考えました。ここで私は時間変化に伴ってグラフの縦軸の正の方向に成長するものとします。

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小まとめ                              ①私には粒子と波のどちらの性質もある(ありそう)          ②私の最近の競技生活を振り返ると周期の異なる3つの波が見つかった。 ③私の直近の成長サイクルはその3つの波の足し合わせで表現できそう。

参考資料                              [1] K.Sugimoto, じゃんぷの倉庫, http://blog.livedoor.jp/uttf_jump/archives/75623476.html (2018).                  [2] K.Koetaka, 東京大学陸上運動部ブログ, http://blog.livedoor.jp/uttf2010blog/archives/9393301.html (2019).
[3] 不確定性原理, https://eman-physics.net/quantum/uncertainty.html
[4] フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』量子力学, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AD%A6


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