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いざ京都へ

京都の花街へ、飛び込む決意を決めた中2の私。
日本舞踊は必須と知り、早速叔母の稽古場へ行き京都に行く話をして
それまでの間お稽古をつけて頂こうとお願いをしました。
少しでも早く舞妓さんになる為に何かしなくてはと、勇んでいる私に
叔母が「舞妓さんは多少お金があるお家じゃないとなれない」と何処かで聞いたことがある。と言いました。

「こりゃいかん。お金がかかるなら意味がない、やめだ。」
すぐ諦めて違う道を模索しようとしていたところを、私が少しがっかりしているのかと心配してくれたのか、母がこっそりインターネットで舞妓さんのことを調べて、一番上に出てきたある一つの花街のホームページをプリントして私に見せてくれました。

そのホームページには、舞妓さん達のお稽古場である歌舞練場のことや、
歌舞練場にお稽古に来られている芸事のお師匠さん方の紹介、舞妓さんになるまでどのような修行をするのかが書いてありました。

後日、母が早速その花街の事務所【※1】へ電話で問い合わせてくれました。
事務所の方が応対して下さり、母が「舞妓さんになるには、お金が無いとなれないのでしょうか?」と聞くと「下着一枚でも、来ていただけますよ。」
とサラリと答えて下さったそうです。(^v^)

下着一枚というのは、例えの一つだと思いが、その言葉の意味は花街に入ることになってから分かりました。

母から電話の話を聞き、「お金が要らない」と分かった私は今度こそ京都へ行く覚悟を決め、履歴書と舞妓さんになりたい理由と顔写真を揃えて、問い合わせた花街の事務所に送り、書類選考がと通ると、「こちらへ、見学にどうぞ。」と連絡を頂き京都へ面接をしに行くことになりました。

中2の冬、母と二人で京都の花街の事務所に行きました。
面接では、舞妓さんになんでなりたい理由を自分の口で答えなくてはいけなればいけませんでした。緊張していて記憶にないくらいですが、「家を、家計を助けたいです。」ということはしっかり言いました。
面接をして下さった女将さんが、「舞妓さんの世界は厳しおっせぇ。」と
念を押しましたが、ここで引き下がってはいけないと思い。
「はい、がんばります。」と答えました。その場でその女将さんに「ほな、うちとこで預かることにいます。」と言ってもらい、面接は通りました。

面接の時のお母さん(女将)の目力は覚えています。
面接が終わり、母と二人きりになった時「女将さん中村珠緒さんみたいやったね。」と話したのは内緒です。

面接で厳しく本人に覚悟しているのかを聞くのは、訳がありまして、、、
「寂しいから」「思った以上に厳しかったから」と言って簡単に辞められないからなんです。
舞妓さんの間は年季奉公と言って、5年~6年間置屋さんに住み込みさせてもらって、修行もします。その間は衣食住のすべてを置屋さんの女将さんが
受け持ってくれるんです。「もう一人のお母さん」として面倒をみて下さります。 
なので、生半可な気持ちで入ると、花街に関わっている色んな方に迷惑がかかりますし、女将さんや置屋さんが資金面などを含め負担を負うことになるのです。もし途中で辞めたら、中卒の方だった場合、中卒なのですぐには働けなですし、高校に途中からとなると、とても大変なことになり兼ねないんです。若い子の未来のことでもあるので色んな意味で慎重に見定めるんだなと、舞妓さんになって数年してから感じました。

弁明のように聞こえるかも知れませんが、その厳しさには花街の文化も守ってきた方達の覚悟があるんだろうな、と思います。
なんか、ええこと言うたとこで、お話をもとに戻します。

面接を終えた後、母と私はお世話になる置屋さんへ連れていってもらいました。私がお世話になったお店は置屋さんとお茶屋さんを兼業しているお店で
お店方などにご挨拶をして、女将さんに「今度の夏(中3)の夏、仕込さん【※2】の体験へ来なさい。」とお話をもらい置屋さんを後にしました。


「まるで別世界だ、絶対また来るぞ、今度は夏。」と心に決めて
母と家路につきました。


つづく。


【※1】京都にある各花街のには、歌舞練場と事務所があるのですが、事務所では主にお茶屋さんや芸妓さん達の事務関係のことを管理されています。
各花街のお茶屋さんが結成してつくられたお茶屋組合と、在籍している芸妓さん達は各花街ごとに芸妓組合があり、しっかり守られた中で仕事をしています。もちろん舞妓さんも。
【※2】仕込さんとは、舞妓さんになる為の修行期間の方達の事です。

~*~*ご拝読有難うございました*~*~

舞妓さんになる為にどのようなご縁で花街に入るかは、人それぞれです。
私のお話もあくまで一例ですので、悪しからず。
次は、仕込さんの体験のお話を書く予定です。
この先花街用語が増えてきますが、なるべく解説をつけながらさせてもらいますね。つづきをお楽しみにしてください。

では、又また~!
おおきに(*^^*)





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