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上下関係のわかりずらさ? 視点を変える

「わかる/わからない」の視点で、アートに関わるお話を、思いつくままつらつらと綴っています…。

 Zoomに”ひな壇”機能がついたと話題の今日この頃。「オンライン会議の参加者で誰が”上席”かわからない問題」の解決を狙ったという説も出てくるほど、上下関係には敏感な方が多いです。
 アートの”上下関係”といえば有名なのがこちら。

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 前回話題にした16世紀マニエリスムの画家アルチンボルドの描いた作品でです。大根や玉ねぎなど野菜がボールに無造作に入れられているところが丁寧に描写されていますが、「それでどうしたの?」って感じですよね。そこで、この作品の上下をくるっと入れ替えてみてみましょう。

庭師

《庭師/野菜》
ジュゼッペ・アルチンボルド  
1587-1590年 板に油彩

 あれ? なんだか帽子をかぶった人の顔に見えてきませんか? 大根が大きな鼻で、キノコが唇。玉ねぎが少し赤みを帯びた頬に…。 上下関係が逆転するだけで、同じ絵なのに随分と違うものが見えてきます。普段と視点を変えれば、見えなかったものが見えてくるという典型的な例ですね。
 アルチンボルドは随分と才覚にたけた人だったようで、恐らくこの作品には「上下を逆転しても楽しめます」ぐらいの話ではない、何か別の意図も仕込んでいるはず。
 Zoom画面上の上下に関わらず、参加者皆さんでアイスブレーク的に、この作品を眺めながら隠された意図を想像し合うと、お互いに意外な面が見いだせて、楽しいかもしれませんね。あ、できれば、”ひな壇”が”奈落”になるぐらいに視点を変えて…(笑)

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