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目覚めの時… 『眠り展:アートと生きること』

 東京国立近代美術館で開催中の『眠り展:アートと生きること』に行ってきました。
 開催案内のHPはこちら

 国立美術館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館、国立映画アーカイブの6館)合同展の第3弾として開催の本展ということですので、個々の作品も十分に見応えがありますが、コロナ後の企画展として、どんな展示になるのかにも興味を持ちました。

<序章 目を閉じて>から始まり、<終章 もう一度目を閉じて>までの各セッションを鑑賞していくうちに、この時期に「眠り」をテーマにした狙いが(勝手に)腹落ちしてきました。
 見えないものの脅威と向き合う行為…、「眠り」に似ているなぁと。

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《関係ー種子、土、水、空気》
河口龍夫

<第4章 目覚めを待つ>で展示されていた河口龍夫の作品が特に印象に残っています。
 種子は生命を中に孕んでいながら、外からは眠っている(≒死んでいる)ようにしか見えないし、発芽させる環境ときっかけがなければ、種子が生物であったことなど誰も知ることのないこと…。
 「なんだろう、この重苦しい雰囲気は?」
作品を前にした時の印象が、キャプションを読んだことで、納得すると同時に、普段の自分の感覚が「目覚めている」のか、「目を閉じて」いるのか、その境界すらもわからない、曖昧な気持ちにさせられました。

「分かることは見えること」という当たり前の感覚が大きく揺らいだ今年。なるほど、アートと生きるって面白いなぁと。
 ちなみに常設展の方も、「ディスタンス」を意識した形で鑑賞できるように企画されていて、こちらも堪能しました。…予約制でゆったりと鑑賞するには、とてもお薦め。



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