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「日本美術」(特に茶碗)の味わい方が突如わかったような気になった話

「わかる/わからない」の視点で、アートに関わる話を、思いつくままつらつらと綴っています…。
  国宝にも色々ありますが、その良さを自分としてはまだまだよくわからんというジャンルに「茶碗」があります。茶道には全く縁のない身ですから、茶碗といえば、ご飯食べる時の普段使いの食器くらいしかイメージがないので、国宝クラスの茶碗を観ても、正直「ふーん」って感じでした。年齢を重ねて感性がいい具合に枯れてこないとわからないのかなぁって。
カバー写真 国宝《曜変天目 稲葉天目》

 先日訪れたサントリー美術館の『日本美術の裏の裏』では、こんな輩(やから)も楽しめるようにと、<景色をさがす>(そんな顔もできるんだね。自分だけが知っているとっておきの表情)と題して、360度ぐるりと眺められるように展示が工夫されていました。確かに、多くの美術館では一方向(≒正面)からしか眺められないので、”あなたの正面を探してね”という問いかけにそそられました。おかげで、いつもよりはじっくりと鑑賞できたのですが、それでもまだ「へぇ~」程度だったんです。

ところが、今日のランチで、突然、「あ、これ!」と思うことがあったんですね。(その筋の方には先に謝っておきます。お気楽なつれづれをいつも書いていますので…)

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 お気に入りのラーメンを頼んで目の前に置かれた時、蓮華が向こう側にあったので、なぜかどんぶりをぐるっと回してみたんですね。すると、チャーシューが輝く瞬間があって…。そうか、自分の好きなものが、器の中にあるんだと再認識しました。
 器って、基本は何かを盛り付けるためにあるものですが、それは自分のお気に入りを包みこむということでもあることに気づいたわけです。大袈裟に言えば、自分の世界観を器の中にいかようにも観る事ができる。そうした世界を色々と想像させることができるものほど、凄い「作品」になのではないかなぁと。
 全くもって、美術ファンとも思えない安直な腹落ち感ですが、急に「茶碗」に魅力を感じだした瞬間でした(笑)

 普段の生活の中で、「あぁ、なるほど!」と突然腹落ちするような経験ってありませんか? 頭を悩ましてずっと考えていた問題が解けたというのではなく、頭の隅に忘れられてたちょっとした謎が明かされたみたいな。
 展覧会などでアート作品とじっくり出会った後は、こうした「?の断片」みたいなものが沢山溜まっているはず。全く別の機会に、何か一つの?が氷解した時の快感。ラーメンを食べながら、思わず味わってしまいました。

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