トーハク(東京国立博物館)でとうはく(長谷川等伯)
「わかる/わからない」の視点で、アートに関わる話を、思いつくままつらつらと綴っています。
先日行ってきた《桃山 天下人の100年》展がとても贅沢な鑑賞体験だったというお話。
平日にお邪魔しましたがまずまずの人手。とは言え、この時期での予約制ということもあり、並ぶこともなく会場入り。第一展示場の入り口に入ると、赤の甲冑が目に飛び込んできますが、その先の先に、ついつい視線が…。
狩野永徳の《唐獅子図屏風》と長谷川等伯の《松林図屏風》の持つ磁力に、ぐいぐいと引き寄せられてしまいました。レオナルドダヴィンチとミケランジェロのライバル関係を勝手に彷彿してしまう、安土桃山時代の天才二人の競演! これを鑑賞できただけでも、来てよかったぁ~って思えます。
二人の織りなすドラマに関しては、『花鳥の夢』山本兼一著や『等伯』安べ龍太郎著などの小説に詳しいですが、まぁ、やっぱり並べてみると作品の持つ迫力がそれぞれに凄いですね。
さらに、そこから会場を巡ると、狩野元信、永徳、探幽と、狩野派の100年を一気に鑑賞できる展示もあって…あぁ至福の時。
今回は関連の展示も豊富でして、本館で開催中の《なりきり日本美術館リターンズ》では「松林図」ライブがあったり、尾形光琳と蒔絵硯箱制作したり、東洋館では《松林図屏風》の上を歩き回る!ようなVR映像を楽しめたり…。うーん、オリンピック企画だったの思われるのですが、これだけ楽しめる仕掛けをご用意いただき、一気に日本美術ファンになっちゃったという感じです。
戦国時代という、毎日が文字通り命がけだった時代だったからこその、感性なのかなぁと。あれだけ豪壮な屏風が好まれる一方で、小さな茶道具を愛でる美意識。はぁ~。研ぎ澄まされてます本当に。
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