元飛込日本一選手が、ドラマホリック!『DIVE!!』第11話を見て書き殴った
この文章は現役ハイダイビング選手(元飛込日本一選手)から見た『DIVE!!』ドラマレポートです。
所々ネタバレや常軌を逸した(頭の悪い)表現が含まれます。
それでもOKであればぜひ最後までお読み頂けると幸いです。
(まとめる関係上、実際の流れてくるシーンとは違う順番で解説する場合があります。また、権利問題対策のため画像も控えめにしていきます...ご了承くださいませ...!)
〜INTRO〜 10話から11話の架け橋
第10話は選手たちの猛特訓からの成長のストーリーでした。
中には競技の練習から離れた特訓をしていた選手もいましたが最終的には全員間に合った?ようです。
代表選考会では以前の強化合宿の選考にも出場していた選手達と再び代表を争うことになります。
また、11話は選手たちを支えるサポーター達の心情が詳しく表現されていました。選手たち以外の登場人物にもドラマがあるということでしょう。
そんな予選ではなんと知季が1位、飛沫が3位、要一が6位という誰もが予想できなかった試合展開だったようです。観戦にきている坂井家と未羽が大はしゃぎ。当の本人は集中しているのか呆けているのわからない状態。
試合前の麻木コーチと冨士谷コーチの会話が頭から離れない様子。そんな知季に声掛けする飛沫。そして要一はなにやら深刻な表情でうつむいています。
運命が決まる大舞台!激闘の前半戦を見ていきましょう!
レイジの戦いの行方は...?
決勝が始まるタイミング。競技順1番の選手が飛込台に上がっています。決勝は下位で予選突破した選手から順番に演技をすることになっています。
決勝に進んだ中でのトップバッターはそう、丸山レイジでした。
11話では主人公3人以外の各サブキャラクターに個別の内面トークのシーンが挟まれています。
今まではあまり語られてこなかった登場人物達の思っていることがダイレクトに明かされる面白いシーンばかり。
そんなレイジの独白は、自分は地味で代表争いをするようなガラではないとこぼします。しかしそれでも諦めずに選考会に挑み続けるのは理由がある。
観客席にいる応援に駆けつけてくれた陵。見つめる陵はある情景を思い出します。
公園で自主練するレイジとバスケットボールを軽やかに操る陵。なんだかんだこの2人はセットですね。
レイジも知季と同じく、何事にもそこまで熱くなれない性分でした。そんなレイジが朝練だけではなく、練習後の夜にも練習する様にまでなった様です。
レイジもまた知季の変化に触発された1人でした。感心する陵でしたが、それでも同じチームのライバル達と決定的な差を感じてレイジは劣等感をこぼします。
「限界って見えるじゃん?才能?努力だけじゃ超えられないでっかい壁があって、どれだけやってもトモとか要一君には絶対届かないっていうか...」
練習時間以外にも自主的に練習する行動は起こしているのに、メンタルが矛盾しています。まるで才能の無さを理由に負けることを正当化するように。この発言は陵には聞き捨てならなかったのでしょう。
手加減なしの挑発!
才能の無さをこきおろし、挑発するように言い捨てます。
「だったら時間の無駄だからやめるか?」
ここまで言われたらレイジも黙っていません。
「やめた陵とは違う。お前とは違う!」
「だったらやれよ!中途半端にケツまくって逃げてんじゃねーよ!!」
「やってるよ!やるよ...!やってやるよ!」
レイジの闘志に火をつけたのは、誰よりも一緒に戦ってきた陵でした。やるにしても逃げるにしても中途半端が一番よくない。
少々荒っぽい方法でしたがレイジに覚悟を決めさせるためにわざと挑発したのでしょう。本気のレイジを見て陵も納得しました。
感情の高まりとともに陵も目から涙を流していました。このぶつかり合いもまた青春。
ちゃんと謝れるの偉い
心の迷いが消えたレイジの演技は素晴らしいものでした。もはや順位は関係なし。観戦にきている陵も満面の笑みで応援しています。
○ ○ ○
手綱を握るコーチたち
しかめっ面の形相で選手を見守る麻木コーチ。次はそんな鬼コーチの心情をうちあけるシーンです。
なにげにはっきりと本音を話すのは初めてなのでは?
指導者としての気苦労を一気に話します。
笑顔の素敵なカヨちゃん!
指導中はしかめっ面で感じ悪く見えてしまうコーチ達ですが、確かにそれくらい難しい顔になってしまいます。厳しくコントロールしなければすぐに暴走してしまう選手を持つ指導者の身なら仕方なく感じます。
選手時代の方がラクだったかも、とまで言い出す麻木コーチ。
ここで日本における飛込競技の指導者の環境について補足いたします。MDCの指導者3人は企業のスポーツチームのコーチとして契約を結んでいるかと思います。本来であればこの形式で指導活動を行えるのが理想です。つまりコーチングが仕事として成り立っている状況です。
しかし、現状日本で飛込競技のコーチングを職業としてやっている指導者は10人もいません。つまり飛込コーチのほとんどがボランティアと言っても過言ではないでしょう。
クラブチームによっては月謝を徴収しているチームもあり、完全にタダということは無いかもしれませんが、それも微々たるものです。指導者もコーチングとはまた別に仕事をしながら指導をしているのが現状です。
身近な例だと学校の部活動の顧問と同じ状況です。本業以外の個人の時間を使って選手を見ている指導者が殆どです。つまり土曜日曜も練習があれば当然指導に出向いて休日はほぼ潰れます。
コマッチャウヨネ!
麻木コーチが言った「恋もお預け、プライベートもほぼ無し。」というのも大袈裟な話ではないのです。選手が競技に時間をかけている一瞬一秒も等しく「人生」の一部。それだけ人の人生を預かるということは責任が重大です。選手もコーチも同じ人生を削って取り組んでいます。
だからこそコーチと選手両者の息抜きの必要性が出てきます。そこで小宮トレーナー主催のスイーツオフ日です。
おいしいスイーツに顔を綻ばせる麻木コーチなど練習以外じゃなければ見ることはありません。個人競技ではありますが同じチームで練習をする仲間。このチームメイクとリフレッシュできる機会を作る判断は大事だと思います。
それでも麻木コーチの中で考えてしまうこと。「あの子達は私がコーチでよかったのか?」帰りがけに小宮トレーナーに打ち明けます。日々自問自答している麻木コーチ、しかし小宮トレーナーの目にうつる選手達の顔は良い顔だと答えます。
結果を重要視する麻木コーチ。しかし結果以上に大事なことは選手達には伝わっていると小宮トレーナーが太鼓判を押します。
「スーパーコーチ麻木夏陽子の指導を受け入れた選手達や。あとは自分の足で歩いていくよ。」
言わなくても伝わる...
試合前日まで来たらできることは限られています。あとは選手達を信じて見届けるのみ。
以前は飲みの席でしか打ち明けられなかった心情も、素面で話せるほど麻木コーチと小宮トレーナーの信頼関係も着実に築き上げられていました。
試合中選手達を見守る麻木コーチ。その顔もいい表情になったと富士谷コーチが話しかけます。試合の主役達はあくまで選手。コーチの心構えはすでに決まっている様です。
○ ○ ○
幼馴染達の想いの果ては...
場面は変わり観客席にいる坂井家。家族一丸となって応援しているはずですが弘也はなんだかそうでもない模様。何をするにも地味でクラスでも目立たなかった兄が突然飛込で輝き出す。
対して弘也はなんでもそつなくできるが人並み以上にできる事がない。そんなこの兄弟はお互いがお互いを羨ましく思っている事がわかります。隣の芝は青く見える。無い物ねだりが人間の性。しかも気を遣ってか未羽に告白もできないでいるこの状況。頭おかしくなりそうやで...
輝いてる兄貴の姿を直視できなくなった弟はついに観客席を立って会場から出て行ってしまいます。会場の出入り口で座り込んでいると大黒柱の坂井久志(父)が横にそっと寄り添ってくれました。
知季が努力しているのも見てきたし応援しなきゃと思う。でもモヤモヤして素直に応援できない。そんな自分が人間的に小さくてダサいと自己嫌悪に陥ってしまう。
比較対象が兄弟じゃなければここまで気にやむことは無かったかもしれない。でも至近距離で嫌でも知季の頑張りがわかっていたからこの葛藤があるのでしょう。
そんな弘也の言葉を聞いて父は「普通なんじゃない?」と優しく答えてくれます。「俺がヒロでもそう思うよ。」父親として十分な声かけかと思います。
置いていかれる感覚
知季が遠い存在になっていく様子も、自分には『何か』これといった才能も無いことも、知季の方が何倍もリアルが充実してしまっていることも。高校生らしい悩み方です。
「才能とは自分に何かできると信じることだ。by レノン」
器用貧乏で似たもの同士の父と弘也。自分の事を信じてその『何か』を探していく。自分の事を信じてあげられるのも自分だけ。見守ってきた父親だからこそ言える言葉、そして言葉の重み。多感な時期の坂井兄弟を支える頼れる父親の姿が見れました。
○ ○ ○
会場に出て行った弘也も心配ですが今は目の前の知季の応援が何よりも大切。しっかりと見守る未羽。そんな彼女は試合前に改めて応援に来てくれないか面と向かって知季から誘われていました。
お互い別れて気まずいままは避けたかったようで2人ともなんだかんだお互いのことが気になっていた様です。
「私、やっぱり好きだよ。トモのこと。友達として。」
「俺も好きだよ。友達として。」
いきなりブッ込むんかーいと思いきやちゃんと線引きはしている。なんだよこの関係。君達ほんとに別れてるん?こんなやりとりできるならナンボ別れたってヨリ戻せますやん...と思ってしまうのは筆者だけでしょうか?ハンカチを引きちぎらんばかりに噛み締めながらこの逢瀬を眺めざるを得ません。
今の知季なら絶対オリンピックに行ける。そう太鼓判を押す未羽。以前なら謙遜で返していたであろう知季もここは素直に受け止めました。ここのやり取りだけで知季が人間としてかなり成長したことが伺えます。
そして、ここにきて知季は確認するかのように問いかけます。
「また、今までみたいに変わらず、応援してくれる?」
いじらしい!!ここまで来ておいて今更なにを当たり前のことを聞き返す!!?
「変わらずっていうのは無理かも...」
「えっ?」
「今までの200倍!」
こんなええ子離したらあかんでしょ知季...
代表になった暁には知季にぜひ男を見せてほしいものです。筆者はやはり血の涙を流しながら仲睦まじい2人を画面越しに見るしかありませんでした...
○ ○ ○
津軽の男と女
プールサイドにて麻木コーチに発破をかけられる飛沫。おじいさんを超える。ここにいる全員の心を掴みなさい。
Just do it!
この両方こなすことができるのは飛沫しかいません。
「やってけるよ。」
力強く観客席にいる恭子に向かって宣言します。そんな恭子の心中はかなり複雑な様です。
実際に観客席まで結構見えます。(笑)
祖父を超えるダイブが見えて欲しい、でも飛沫の腰も心配。
この試合で勝って欲しいけど本音は寂しい。負けても津軽には戻ってくるけど夢に破れてしまう。どちらにしても不安材料が多く残る実情。
応援したいけど思い切っては声援を送れないもどかしさがあります。
海の見える公園に1人座っている飛沫。そこに試合前日に飛沫を驚かそうと恭子がサプライズで会いにきます。久々の再会に飛沫は大喜び。
サプラーイズ
飛沫自身また知季と要一と試合ができるという事実、それだけですでに満足できている部分がある様子。そして今回代表に選ばれなければ飛込をやめようと思っていることも打ち明けます。
「俺には4年後とか、その先とか、そういうのはなんか違う...」
オリンピックを有望視される高校生がもう引退...?と思うかもしれませんが腰の怪我や、何より恭子との生活を考えての決断をします。
しかし当の恭子は突っぱねるように「私の未来は私が決めます。」と返します。
「私さ、ずっと自分のことを知りたかった。本当はどうしたいのか。飛沫が本ッッッ気で飛ぶの見たらなんかわかる気がする。」
恭子自身もどうしたいのかが決めきれていない部分もある、でも一番に優先しているのは飛沫が飛込を心置きなくやり切ってくれる事。そこで飛沫の中のノイズになりたくないと思ったからこそ出てきた言葉です。なんと奥ゆかしい...もはや尊さに溢れている。
充電完了!
子供を元気付けるかのように飛沫の頭を撫でる恭子。離れようとする恭子の腕を掴んで抱き寄せる飛沫。あまりの尊さにドラマかよ...と筆者の口から出てしまいました。いや、これドラマだったわ。
○ ○ ○
まとめ
主役はあくまで選手達。しかし応援してくれる家族や友人達にもまたドラマがある。サポーター達の深掘りがかなり多く詰められた11話でした。試合というタイミングで内情を表に出す。多くの人達の想いが混ざり合うのがスポーツ観戦。支える人たちの頑張りや苦悩が繊細に表現されていました。
試合中にコーチからかけられる声掛けは様々な含みを持ちます。ここで今まで築き上げてきた信頼関係が重要となります。こう見ると飛込も個人競技に見えて団体競技のような要素も少しある気がしますね!
そして1人様子のおかしかった要一が急に廊下で倒れてしまいます。試合という大舞台で要一は一体どうしてしまったのか!?
応援してくれる人たちの想いを背負い、オリンピックをかけた戦いで勝利を手にするのは誰か!?最終回で試合の結末を見届けましょう!
ドラマDIVE!! 次回最終回! 第12話は必聴です!
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