オンライン教育の方が対面教育よりも学習効果が高いという事実

全体傾向として、オンライン学習は対面式学習よりも優れた学習効果をもたらす

 米国で2009年にこの不毛な議論「オンライン教育と対面教育ではどちらの方が教育効果が高いのか」についてそれまでの研究成果のうち、信頼性のあると考えられる論文のメタ分析論文*が発表されています。
*1996年~2008年に刊行されたオンライン学習に関する実証研究から45本を分析し、50の効果を抽出。

スタンフォード大学版2009年は👇

米国政府版2010年改訂は👇

https://www2.ed.gov/rschstat/eval/tech/evidence-based-practices/finalreport.pdf

この中から一部を紹介すると。

対面式とオンライン学習を混ぜたプログラムの学習効果が最も優れていた。

 オンライン教育効果 > 対面教育効果 とはいえ、両方混ぜた方が教育効果は高い。これは指導方法の多様性がもたらすものと考えられる。

オンライン学習では受講生同士の共同作業の有無が学習効果に大きな影響を与える

  つまり、オンデマンド録画視聴のみだと効果は低くなる。

オンライン学習を独りで行うよりも、協働的あるいは指導者主導(instructor-directed)のオンライン学習の方が、高い効果がある。

学習者にメディアとの相互作用を自分でコントロールできるようにすると、オンライン学習の効果がより高まった。

Online learning can be enhanced by giving learners control of their interactions with media and prompting learner reflection.
  つまり、現場中継のような教室での講義をLiveと称してon-lineで配信しているような形式ではオンライン教育本来の教育効果を出せないということですね。このカギは「内省」と「自己評価」(learner reflection and self-monitoring)です。

 私見ですが、この最後に書いた項目が、オンライン教育と対面教育の効果を分けるところだと思います。聞き逃したり、理解に時間がかかるところはon-lineでは巻き戻して何度も聞けますから。
 また、学習者の相互作用を促す仕組みが学習効果を高めるのですから、90分間一方的に聞いているような講義は最早もっとも教育効果のない時間の過ごし方ということになるでしょう。

要は設計次第

 要はコンテンツの設計次第なのです。が、日本ではEdTech導入の遅れもあり、オンライン教育での設計ができないので「対面教育でないとだめだ」という意見が散見していないか賢察が要請されます。

2009年の議論なんですけど

 米国では2009年どころか、それ以前の実証研究成果論文がもとなので、はるか昔の機器と配信速度とアプリケーションを前提としてすらこの違い。
 今日ではもっと情報機器が進んでいるので、旧態依然とした対面教育なのかを再考しないととんでもない時間の浪費となっていることが・・・

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