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何百倍返しのGIFTを貰った

「そこに幸せはありますか
誰かと繋がっていますか
心は壊れていませんか」


そんな語りで始まる、

プロフィギュアスケーター
羽生結弦さんの単独公演

““GIFT””


ライブビューイングで観てまいりました。




キャノです。
久しぶりにミュージカル以外の感想を。




といっても、これはひとつの演劇と言っても差し支えない。

興奮冷めやらぬまま、
勢いでDisney+に入会し、
見逃し配信を観ながらこのnoteを書いています。

これから配信を観る予定の方は
⚠️ネタバレ注意⚠️
もう観た方は、語り合いましょう!


オープニングは

火の鳥


炎のプロジェクションマッピングと
リンクを取り巻く本物の炎を背負って、
かの有名なファンファーレと同時に飛び出してきた羽生さん…!

華々しい幕開け!
喝采の中リンクに舞い戻ったその姿はまさに不死鳥。

個人的にちょっぴりびっくりしたのは、
で始まったこと!
勝手に 羽生結弦といえば青 というイメージで、今日も水色のワンピースを着て臨みました。

赤かぁ!炎かぁ!
想像以上に力強いオープニングに圧倒されました。

スケーティングではない時間は、
羽生さん本人の朗読と映像作品で進みます。

自然と対話する少年のような純粋な語りの後、始まったのは、

Hope&Legacy


久石譲さんのドラマチックな名曲です。

ステップの始まりの、有名な一瞬の静止。
広大なリンクに一人、パッと上げた手、
その背後から燃える太陽?がせり上がってくる。

この場面のなんと美しいことか。

映画館の大画面で観てよかったと、
一番初めに実感した瞬間です。


続く楽曲は、

『千と千尋の神隠し』あの夏へ


久石譲が続きます。
全身真っ白な衣裳。天使か神様かと思った。
貴方がニギハヤミコハクヌシでしたか?

未来の前に…の旋律に乗せたスピンがあまりに神々しくて、清らかで、どうしたって涙出る。

そして印象的なのが、
リンクを囲むように現れたダンサーさんたち!

顔の見えない白い衣裳と、纏う白い布。
散りばめられた光のステージに立ち、自然を象徴するように、風のように、水のように舞います。

エンドロールで知ったのですが、
この方々、なんとELEVENPLAYの皆さん!
ひぇぇぇ!!さすが!!!!

そんなに有名なの?と思った方へ。
どん。

恋ダンスの人たちです!!!

ほら!!めちゃめちゃ有名でしょ!!!!




語りに続いてスクリーンに写し出されるのは、光の粒子で形作られた羽生さん。

ショパン バラード第一番


五輪でも披露されたプログラム。
スクリーンの真ん中が開いて、あの水色のお衣裳を纏った本物の羽生さんが出てきます。

世界を沸かせたステップが再び…!

近年の選手としての羽生結弦を代表するようなプログラムだと思っています。


「ずっと君が 今の君を選んできたんだよ」


その言葉の後、スクリーンに写されたのは幼少期の結弦くん。かわいい…!
絵本のようなタッチのイラストで、羽生結弦の成長を辿るアニメーション。

この映像、とっても好きです。
ひとつひとつのプログラムが走馬灯のように目に浮かびます。

そして写し出された北京五輪の日付が今日になり…

パッと明るくなる会場。
そして、ジャージを着た羽生さんの姿が。

From Japan, Yuzuru Hanyu !!

聞き慣れた選手コール、
スクリーンにはタイマーのカウントダウン、
これはもしかして、6分間練習…!?!?

そしてジャージを脱いだら…
北京五輪の

序奏とロンド・カプリチオーソ


うわぁぁぁぁぁ!!!!!

なんちゅう演出だ。

客席からの「がんばれー!」の声援も、
リンクサイドで鼻をかみ、お茶を飲み、そしてプーさんをぽふぽふする流れも、
すべてあの時のまま。
さっきまでとは違うギラギラした目つきも、あの時のまま。

もう二度と見られないと思っていた
羽生結弦選手”
の姿。

ぼろぼろ泣いてしまいました。
北京五輪の、因縁のロンカプ。
この単独公演の舞台で、6分間練習も含めてリベンジしようという。この、なんでしょう、強さというか精神力というか。
改めて凄い人間だなこの人は…と思いました。


リンク整氷の40分間休憩。
ライビュでは、羽生さんのインタビュー映像が流れていました。
CMの間に一緒に行った友人と話していたのですが、「ロックも観たいね!」「パリ散か、クレイジーか… 」「第二部の最初に来たら叫ぶわ(笑)」

そして始まった第二部…

Let's Go Crazy !!!
Let Me Entertain You !!!


おいおいおいまじか!!!!

リンクを囲む生バンドに、ギラギラネオンのプロジェクションマッピング。
見事にぶち上がりました。

客席煽りがどえりゃーかっこええんじゃ。
まさにスター!アイドル!キラキラ!

と思って観ていたのですが…

「楽しいよね?」
「楽しくないわけなんかない」
「ねえ、楽しいでしょ?」

低い声で語りかけられてハッとしました。
ついさっき、休憩中のインタビューで語っていた言葉。

「本来は自分が好きでやり始めたことなのに、自分がフィギュアスケートを好きと感じる暇さえなくなってきて、何のためにやってるんだろうなと思った」

わかる、と言ったら烏滸がましいんですけど。
私も、本当は大好きなはずの歌やダンスが、どうしようもなく憎くて嫌いになってしまうときがあります。
嫌いだ!もうやりたくない!こんなもん辞めてやる!って本気で思ってるのに、本番で舞台に立つと「やっぱり辞められない」って思ってしまう。
そしてまた繰り返す。

プロはそんなことないのかと思っていました。
だからこそプロなのだと。

でも、誰もが認める世界のトップである羽生結弦でさえ、そんなことを考えるときがあるんだ。

「羽生結弦って普通の人間じゃん、と安心してもらえるような公演に」

これもインタビューで語っていた言葉です。

そうか、と思いました。
超人的な公演ではあったけれど、
根底には私たちと同じように負の感情があって、葛藤があって、
その上で成り立っているのだと。

「こんなに頑張ってるのに、こんなに尽くしてるのに」
「できなきゃ意味がない」


「こんな僕のこと、誰がわかる?」

Adoさんの 阿修羅ちゃん



でもごめんなさい。やっぱりめちゃめちゃかっこよかったです。




白と黒の羽生結弦が交互に語る次の場面。
期待と重圧に押し潰されそうな、普段見せることのない葛藤が語られます。

あれ…?
気づけば音楽が… オルゴールの…
マスカレードに………

うわぁぁぁぁぁ!!!

オペラ座の怪人 !!!!!!


ここ死ぬほど鳥肌立ちました。
伏線回収。
本物のオペラ座の怪人だ…

仮面をつけた羽生結弦の姿が、
舞台両サイドの巨大な手のオブジェに繋がります。

本物の炎の中で踊るThe Point of No ReturnとMasquerade の凄み。
炎の熱気で揺れる空気の向こうに羽生さんの姿が見えて、怖いぐらい。
からの、Music of the night でイナバウアー…!号泣です。

私は、ミュージカルの中で『オペラ座の怪人』が三本の指に入るほど好きです。
個人的にとても思い入れのある音楽。

競技でのプログラムが決まった当時も、大好きな羽生さんが大好きなオペラ座の怪人で踊るなんて、奇跡か?と思ったのを覚えています。

こんな…こんな…凄まじい演出で観られるなんて…
生きててよかった…………(泣)

次の語りで孤独に気づいた後に踊るのは、

FINAL FANTASY X より
いつか終わる夢


プロジェクションマッピングとリンクした演技の美しさに釘付け。
滑った軌跡が光になって、リンクいっぱいに広がります。

notte stellata

 

結論に辿り着いた白鳥が舞う姿は、清らかで美しく、“究極の美”とはこのこと。

火の鳥として羽ばたいて始まり、
白鳥として羽ばたいて終わる。

本当に、美しいフィナーレでした。


エンドロールは

Mrs. GREEN APPLE 僕のこと


歌詞が。歌詞が刺さりすぎる。
ここで初めて、生オーケストラが
東京フィルハーモニー交響楽団
であることを知ります。
いやいややばすぎでしょ。
単独公演で東フィルって連れてこられるもんなの?
できるのか。できちゃうのか羽生結弦なら。


そして羽生結弦、ここからがすごい。
本当にすごい。

グッズのもこもこジャケットを着て登場した羽生さん(かわいい)。
スタッフそれぞれに丁寧にお礼を言った後、
音楽総監督の武部聡志さんにバトンタッチ。

ここでなんと、武部さんによるオリジナル曲『GIFT』の生演奏…!
そのピアノはシームレスに移り変わり…

春よ、来い


ええええ!!ここで!!ここで!!(泣)
叫び出しそうなのを、口を押さえて耐えました。

桜色の、天女の羽衣のようなお衣裳。
音の取り方がはんぱない。
ピアノの小さなアクセントも落とさず拾う。
この踊り方が、本当に本当に好きなんです。

舞い散る桜の中、感動のフィナーレ。




かと思うじゃん!?!?!!?!?




突然の笛の音!
緑と紫のレーザービーム!

SEIMEI だーーーーーー!!!!


悲鳴で東京ドームが揺れました多分。
ホント、これはやばい。
まさかここで来るとは思わなかった。
鳥肌なんてもんじゃ済まない。
そして生オケSEIMEIやばい。

客席のボルテージが最高潮に達したときに、誰もが待っていた最高のプログラムをぶち当ててくる。
なんなんじゃこの演出は。

アーーーーーー!!
衣裳もSEIMEIじゃん!!!(泣)

観客席の歓声がすごい。悲鳴が轟いてます。
もちろん私も、心の中で絶叫。

世界中が虜になった金メダルのステップ
激アツどころの騒ぎじゃない。
こんなに会場を沸かせられるのか。
なんなんだ羽生結弦という人間。

本当に楽しそうに踊る…!
キラッキラの笑顔で、楽しくて仕方がないというように。


マイクを付けて「ありがとうございます!」と叫びながら会場を一周!

音楽は、

BACK NUMBER の 水平線


「誰の心に残ることも
目に焼き付くこともない今日も」

歌詞を口ずさみながらの最後のスケーティング。

マイクを外して叫んでくれた姿が、心に残って、目に焼き付いて離れません。

本当に、本当に凄いよ羽生結弦………


こんな伝説と、生きる時代がかぶって本当に幸運でした。

ふらふらしながらスクリーンを後にしましたが、なんか腰が抜けちゃって。
映画館を出たところの壁にへばりついて、友人と二人で、しばらく無言で放心状態でした。

その興奮が冷めぬまま、勢いでDisney+に登録し、見逃し配信でおかわりしている次第です。



この世界の至宝だよ、羽生結弦…

この余韻で、しばらく生きていけそうです。
本当に本当に素晴らしかった!


キャノ





めちゃめちゃ余談ですが、
BACK NUMBER の水平線、少し前に歌う機会がありまして。
ちょうど羽生さんが口ずさんだ、いっちばんいいところで歌詞を間違えて、軽くトラウマソングでした。
でも、その苦い思い出を羽生さんが上書きしてくれました。
もともと大好きな曲なので。
やっぱり大好きに戻りました。
ありがとうございました!笑

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