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手の痛みシリーズ 肘内障

肘内障とは

前腕の骨には橈骨と尺骨と2つの骨があります。
その内、親指側の骨を橈骨と呼びます。その橈骨の肘に近い方(近位部)に橈骨頭いう少し膨らみのある部分があります。
そこに輪状靭帯と呼ばれる靭帯があり、橈骨と尺骨からなる関節の安定性に重要な靭帯です。

成長するにつれて橈骨頭は膨らみを帯びていきますが、乳幼児から小学生低学年くらいまでの年齢では、橈骨頭の膨らみが成長しきれていません。

そのため、不意な力で橈骨頭から輪状靭帯が抜けてしまいます。
これが肘内障です。

輪状靭帯が亜脱臼


肘内障の症状

転倒したり、大人に腕を引っ張られたりすることで起こりやすい肘内障ですが、症状としては痛みです。

動かすと痛みが出現するので腕を動かさない場合がほとんどです。

受診に来る子供にどこが痛いのか聞きますが、手首が痛い、肘が痛い、腕のどこを触っても痛いなどさまざまです。

ただ、共通する事としては腕を挙上(バンザイ)できないという事です。


肘内障の治療

問診で肘内障が疑われる場合は、徒手整復を行います。

徒手整復には

  • 回内法

  • 回外屈曲法

2つの方法があります。

回内外動作

回内法は橈骨頭を押さえて前腕を回内(手のひらを内側に向ける)する方法。
回外屈曲法は橈骨頭を押さえて前腕を回外(手のひらを外側に向ける)し、肘を曲げる方法。肘を深く曲げるところがポイントです。

手のひらを上に向けた状態で橈骨頭を押さえながら肘を曲げていくと「コクっ」というClick(クリック)音を母指で感じます。

整復後は、子供も痛みでビックリしているため治ったかどうかを判断する事がすぐにできません。
ですので、5~10分ほど時間をあけ、その間に家族と遊んでもらい腕を使うようになったかを確認してもらいます。

腕を動かし挙上できるようになったら晴れて治療終了となります。

注意点

肘内障ではなく、骨折や脱臼であった場合徒手整復をしても症状の改善は見られません。
問診の段階で、肘内障を疑って徒手整復を行ったとしてもただ痛い思いをしただけとなってしまいます。

徒手整復を行っても症状の改善がなければ、レントゲン検査で骨折や脱臼がないか確認する必要があります。

まとめ


肘内障は乳幼児から小学生低学年までの間で起こる事が多いです。
転倒や腕を強く引っ張られたりする事で起こりやすい疾患です。
橈骨頭が成長するまでクセになって繰り返す子供も多くいますので、再発防止のために腕を引っ張るような行為はしないようにしましょう!

また、エピソードだけで肘内障と判断してしまい、実は骨折や脱臼をしている場合もあるためレントゲン検査ができる整形外科を受診する事をお勧めします。
その方が子供に痛い思いをさせる場面が少ないと思います。


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