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思い出の場所で、フェスが始まった日のこと


イベントの開催は難しい。コロナ禍での約3年間、散々打撃を受けたのはもちろん、そもそもコロナ以前に、その時期の環境によって開催が左右されてしまうのがイベントというもの。

よくあるのが、台風や大雪などの『天候』。出演者の体調不良。そういえば、会場付近で銃を持った人が逃走していて中止になった、というイベントもあった。それくらい『イベントの開催』という『普通』に見えることが、どれだけ大きいことか、コロナ禍で、いやそれ以前に、私はずっとずっと身に染みていた。

だから思い出の、地元のイベント会場で、

音楽フェスが初開催されると知ったとき、

『何のバグ????????』とスマホをゼロ距離で眺めてもすぐには信じられなかった。

EIGHT BALL FESTIVAL 2023。会場はコンベックス岡山。昨日、2日間、ようやく終わってやっと実感することができた。

でもやっぱり、たくさんの信じられないことが溢れていた。


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ストリーミングやTikTokなどで人気に火がついたVAUNDY、マカロニえんぴつ、Saucy Dogはもちろん、大の昔から人気が後を立たないサンボマスター、UNISON SQUARE GARDEN、MAN WITH A MISSION、日本のバンド界をずっと引っ張り、映画SLAM DUNKでさらにファンを集めた10-FEET。などなど。

こんなにも、大衆を湧かせるアーティストを抑えて、初開催のトップバッターに立ったのは、16歳のころから大好きな『SHANK』だった。

初めてSHANKのライブに行ったのが17歳。2015年11月21日。岡山の小さなライブハウスだった。


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今回のフェスの会場であったコンベックス岡山。前職の仕事でよく行っていた場所。

コンベックス岡山でイベントがある時期がだいたい繁忙期である。イベントは土日開催。水曜の夜にはトラックに荷物を乗せ、木曜、金曜の早朝にコンベックス着。2日かけて、粛々と設営に取り掛かる。土曜は何か不備があったときのために待機。日曜の夕方にはまたコンベックスに行き、粛々と片付ける。時にはヘルメットを被り、片手にはカッターナイフ。

今はもうその職を離れてしまったけれど、イベントが大好きな私にとって、本当にかけがえのない経験だった。


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だからそれらが、全部全部信じられなかった。

8年もSHANKを好きでい続けていること。ライブ会場やファン層や変わっても好きでい続けていること。そして同じ好きの熱量を、ずっと保っていること。コンベックス岡山という大きな場所でもあり、地元でもあり、裏側として関わった思い出のある場所で、SHANKが見れたこと。あまりにも出来すぎた話である。ずっとずっと、今も、宙にふわふわと浮いているような、そんな気分である。


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noteを始めて4年。ライブのことを書くのが1番苦手だということが分かった。なぜなら、ライブが好きだからこそ無限に書けてしまうから。終わりがないから。どこに焦点を当てて絞ればいいか、わからないから。

思い出の場所で、フェスが始まったこの2日間のこと。まだまだたくさん書きたいことがある。

コロナ禍によって分断されたファン層のこと。逆に、コロナ禍によって会えなくなったライブ友達に、久しぶりにたくさん会えたこと。

サブステージがライブハウスのような空気であまりにも我得だったこと。サブステージで涙を流しながら、亡き人に歌っていたあのバンドのこと。

山の中にあるコンベックスの昼は花粉に悩まされること。アクセスが悪いためお酒があまり売れないこと。そして夜は結構寒いということ。


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来年も開催されると公式から発表があった。嬉しさと同時にそうだよな、コンベックスの会場押さえは早いんだよなとなぜか冷静な自分も垣間見えた。

それぞれの思い出は、いつか思い出す日が来る。そのときにまた、言語化できるように。また来年も無事開催できることを祈りながら。

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